アラスカDAY6 文明への帰還
朝焼けのデナリ山
4時過ぎに起床。快晴!
彼女はすでに起きていたようで、「デナリ山の朝焼け、すごいよ!!」と興奮気味。
昨夜は緊張とあきらめとで眠りに落ちたが、クマがうろつく夢を見たり、うまく撃退するような夢を見たり、眠りが浅いままフワフワとした感じで目覚めた。
しかし、何より最大の難関と思っていた夜を無事に越せたことに安堵した。
「夜を無事に越す・・・」なんて大げさかもしれないが、何事もなく朝を迎えられたことに正直ホッとした。
寝不足ではあったものの、朝焼けに輝くデナリ山を見た途端、眠気なんか吹っ飛んでしまった。とにかく美しい。
そして、この広大なユニットとデナリ山の眺めを「2人占め」していることにも改めて感動。
天気予報ではお昼から雨になるかもとのことで、雨中行軍を避けるために早朝出発と決めていたが、どうやら今日も天気はすこぶる良さそうで一安心。
早速、茂みにデポしておいたベア缶を見に行く。
「クマがこじ開けようと格闘した形跡はないだろうか」と恐る恐る近づいてみると・・・昨日とまったく同じ場所、同じ向きで置かれたままだった。これまた一安心。
クリークの冷たい水で顔を洗い、歯磨きもして出発準備。
2人を一晩守ってくれた「手づくりバリケード」を撤去。人がいた痕跡を残さないよう、流木はあたり一面に散らす。
川の中につくった即席冷蔵庫の岩も元の場所に戻した。
朝食はチョコやクリフバーを食べながら歩くことにした。一刻も早くワンダーレイクのキャンプ場に戻るためだ。
というのも、ワンダーレイクを発車するバスの時間が限られていたからだ。私たちが乗りたいバスは11時半発。少し余裕を見て、6時過ぎにはキャンプ地を出発することにした。
ベア缶の荷物も詰め替え、準備を急ぐ。テントが朝露にキラキラ輝く。
帰りのルート
さて、どのルートで戻るのか。ちょっと頭を悩ませた。
昨日は川を渡ったり、森の中をやぶ漕ぎしたりして4時間半かかった。同じ道を戻るだけなら昨日ほど時間はかからないだろうから、3時間半ほどで踏破する自信はあった。
だが、やはり森の中は怖い。
2人とも口には出さなかったが、茂みの中でクマにばったり遭遇する恐怖は消えていなかった。なので、できるだけ森は避けたい。
そこで浮上したのが、キャンプ地に流れ込む清流のクリーク沿いに戻るルート。
草原に流れるクリーク沿いであれば森の中を歩く恐れもない。問題は、地図で確認できないクリークが出現した場合、道に迷ってしまわないかどうかだった。
しばらく検討したが、道に迷いそうな場合は携帯の地図アプリで確認すれば大丈夫だろうという結論に至った。
それほど、この極限の世界ではクマの存在が怖かった。しかし、昨日の経験から水の流れで立ち往生する事態が恐ろしいのも事実。
マッキンリー川の泥の急流は、なぜだか恐ろしさを感じさせる。クリークの流れもところどころ速く、深いところは腰まである。それでも何とかなるような気がするのだが、泥で濁るマッキンリー川には不思議と恐怖を覚えた。
というわけで、クリークを上流に向かって歩く。どうしても進めないような状況になれば、昨日のルートに復帰することに決めて出発!
ツンドラの大地を行く
クリーク沿いはツンドラ特有のフワフワした草が生い茂る程度で、とても歩きやすい。昨日の森のやぶ漕ぎと違って、スピードも出る。
森との距離も5~10メートルはあるので、見通しもきき安心だ。
「これは、なかなか快適だねー」なんて2人で喜び合っていたのもつかの間、クリーク沿いに小さな崖が迫り、どうしても森の中に戻ることを余儀なくされた場面もしばしば。
できるだけ森の端を歩き、クマに警戒しながら進む。
「クマさーん、おはようございます」
「クマさーん、少しだけお邪魔しております」
「クマさーん、水曜どうでしょうです。怪しいものではございませんよー」などなど口に出しながら森の中を歩く。
昨日と違ったのは、叫ぶような大声は出さなくなったこと。そりゃ、朝から大声を出されたら目が覚めて苛立ってしまうのはクマも人間も同じだもの。
それでも、なぜかクマに語りかけるような声が自然に出てきたから不思議だ。
蛇行するクリーク
クリーク沿いのルートは正解だった。だが、やはり懸念していたことも起こった。
地図アプリを見たところ、途中どうしても大きなクリークを渡河する必要が生じたからだ。
渡るのであれば、できるだけ浅い場所で渡りたい。だが、地図を見ながら歩みを進めると、地図には載っていない無数のクリークが目の前に現れた。
地図上では2本のクリークが並行しているはずなのに、実際にはクリークが大小10本ほど。
「どのクリークが地図上のクリークなのか・・・恐らくこのうちの大きな2本だろう」と目星をつけるのだが、どれが大きい流れなのか判別しにくい。
小さなクリークをどんどん飛び越えて本流をめざすべきなのか、いやいやこの小さな流れが地図で示されたクリークなのか。確認のため、たびたび足を止めざるをえなかった。
なので、少し歩いてみてGPSで位置を確認し、方角を確かめながら微修正することを繰り返した。
しかし、だんだん歩いているうちに、どれが本流で、どれが支流なのかが自然とわかるようになってきた。
川の流れ、深さ、周辺の草原の広さ、そして行く先の森林地帯が開けているかどうか。それらを見ているうちに、進むべき方向がおのずと見えてきた。
これもまた、動物としての人間が持つ能力のひとつなのかもしれない。
小さなクリークを渡るうちに靴も濡れてしまったが、一度濡れればもう怖いものはない。渡河しなければと懸念していた大きなクリークも、いつのまにか無事に渡ってきたようだった。
そして、しばらく歩くと急に平原が広がり、視界が開けた。
美しきバックカントリー
この瞬間だろう。まだまだ道半ばだったが、我々2人は「これで無事に帰ってこられた」と確信した。
川幅を増したクリークが悠々と流れてはいたものの、多少遠回りしてでも歩いていけば、もう大きな危険をおかさずともキャンプ場まで戻れるだろうと思った。
相変わらず、「あるー日、森のーなか」「ぼくは熊、クマ、熊、クーマー」と歌い続けていた2人だったが、この開けた草原に出てから歌う声はより明るく、テンポものびやかになっていった。
昨日の炎天下とは違って早朝で気温が低いせいか水の消費量は少ない。それでも、貴重な飲料水。節約しながら飲んでいた。
そろそろ思う存分飲んでも問題ないかな・・・と思った矢先、彼女が叫んだ。
「あ、ブルーベリー見つけた!!」
実は小さいが、一粒つんで口に入れてみる。その甘いこと、みずみずしいこと。
ほどよい酸味で、のどの乾きも一気に癒えた。ちなみに、これは後でわかったことだが、私たちがブルーベリーだと思っていたのはハックルベリーだったらしい。
当然、小さな一粒では足りない。
しかし、そんなに群生していないためか、10粒とるのがやっと。のどが渇いていたので、まだ緑色の熟していないものまで試しに食べてみたが、これがうまい!
そして、彼女は実によくベリーを発見した。なんでも、一度葉っぱの形を覚えれば、多少離れた距離からでもすぐにわかるのだという。もしかしてクマですか??
帰路に就いた安堵感もあったせいか、すっかりベリー探しに夢中な2人。大きな群生地を見つけたときには、「おー!ここすごいよ!!」と声を合わせて狂喜乱舞。
「クマさーん、のどが乾いているので少しいただくだけですよー!」と森に向かって声をかけては、口にほおばる。
本当に美味しい。一気に体力が回復してくるような気がする。
それでも、もちろんベリーは摘み過ぎず、適度に食べては次の群生地を探した。クマにも生態系にも優しく!
身も心も軽くなった2人を悩ませたのが蚊だ。
クリーク沿いを歩いていたときも蚊柱が立っていたが、草原に出てからの方が数が増したようだ。
常時、100匹ぐらいは体の周りを飛んでいる気がする。蚊よけネットを頭からかぶってはいたものの、ネットが顔にくっついた瞬間などを見逃さずに刺してくる。
こんな早朝から元気に飛び回るとは、さすがアラスカの蚊は都会の貧弱な蚊と違う。
さらに歩く。
ときどき、地図やGPSで現在地を確認したが、このまま進めば往路のトレイルにぶつかることを確認。あとは何の心配もなく、ハイキングを楽しむだけだ。
振り返れば、早朝の陽に輝くデナリ山。気温が上がると山に雲がかかるので、楽しむなら早朝に限りそうだ。
それにしても、この広いバックカントリーユニットを2人だけで占有しながら、デナリを楽しめるなんて。こんな豪華なキャンプとハイキング、ほかでは味わえないのではないだろうか。
小さな池の穏やかな水面には、デナリがキレイに映っていた。
2人が会話を止めると、ただただ静寂だけが広がる。野花も風に揺れる。天国があるとすれば、こんな景色なのかもしれない。
文明への帰還
歩き続けること3時間弱。トレイルに出た。
ベリーを探したり写真を撮ったり、後半はのんびり歩いたけれど、予想以上の早さで戻ってきた。
トレイルにかかる橋を見た瞬間、真っ先に感じたのは「人工物だ!」ということ。
出発してから人工物を目にしたのは、昨日森の中に落ちていた靴下のみ。こうして、しっかりと手入れされた橋を見ると感慨深いものがある。
結局のところ、人は人の存在に心を癒やされるのかもしれない。自分たち以外の存在を久しぶりに感じ、ふとそんなことを思った。
とにかく、文明社会に戻ってこられたという実感が湧く。改めて振り返ってデナリ山を見る。何度見ても美しい。夢のようだ。
トレイルをのんびり歩く。まだまだ森の中を通過する区間もあるので、改めて「ある―日、森のなかー♪」を合唱。いったい何度歌ったことか。
しばらく歩くと、向こうからハイキングの男性が現れた。「グッドモーニング、最高の朝だね!」と声を交わす。
久しぶりに彼女以外の人間と会話をした。たった1日のバックカントリーキャンプ。なのに、ものすごく久しぶりに人と話をしたような感覚だ。
トレイル沿いには数え切れないほどのベリーが群生していた。昨日歩いたとき、なぜ気づかなかったのだろう。
「きっと、昨日はいろいろ集中していて、道ばたのベリーなんて目に入らなかったんだよ」と彼女。
うん、納得。往路は知らず知らずのうちに、ものすごく緊張していたんだろう。
トレイルヘッドまで戻り、さらにバスが走る道を歩き、9時過ぎにはワンダーレイク・キャンプ場に帰ってきた。
のんびりバスを待つ
前述の通り、ワンダーレイク・キャンプ場はデナリ国立公園の最深部。携帯も圏外で決して文明の地とは言いがたい。
だが、バックカントリーから帰ってきた私たち2人にとってはトイレ、水場、テーブルなどなど、「これこそ人間が生み出した文明!」と感謝せずにはいられない。
2日前に訪れたときとはキャンプ場の印象がまったく違う。
泥にまみれた靴を洗って干し、早速食事の準備。スーパーで買ってきた29セントのインスタントラーメンに、タマネギを煮込んで食べる。
うまい!どうしようもなくうまい!!
そんなにお腹は空いていなかったはずなのに、2袋も食べてしまった。
食後にはコーヒーをいれ、デナリ山を見ながらのんびりと過ごす。
さて、11時半のバスに向けて、そろそろ出発準備。
キャンプ場の食料庫の中には不要になったガス缶を次のキャンパーのために置いていくコーナーがあることも前述した。
それ以外にも登山靴、ドライフード、鍋なども置いてあった。キャンプ用のチタン鍋セットが置いてあったので、残りのキャンプ用に拝借。
替わりに私たちのアルミ鍋を置いてきた。
バス乗り場に行くと、すでにバスは到着。
ただ、キャンパーバスではないので、あくまで空きがあれば乗れるというルール。すでに5~6人が待っている様子。
どうやら私たちが乗れるスペースはないようで、「次の1時間後のバスに乗ってくれ」と言われてしまう。
しかたないので、バス停で待つ。蚊が飛び回るので、蚊よけスプレーと蚊よけキャンドルを点火。けれど、この暑い中じっと待っているのもつらい・・・再びワンダーレイクを見に行くことにする。
一緒にバスを待っていたカップルは、バス停の横に蚊よけのためにテントを立てて、横になって読書を始めた。さすが本物のキャンパーだ。
「ちょっと湖まで行ってくるよ」と声をかけると、「いいねー、エンジョーイ!」と答えてくれた。
湖までは歩いて5分ほど。先客も2人ほどで静かだ。
しばらく眺めていると、後方からバスが近づいてきた。ぞろぞろと大量の観光客が湖に押しかけ、のんびり楽しむどころではなくなってしまった・・・撤収。
さようなら、ワンダーレイク。
バス停に戻り、キャンパーバスの到着を待つ。
運転手さんに「空きスペースまだありますか?」と確認して、無事にバスに乗り込む。これで本当に一安心。
再びバス旅へ
12時半、再びデナリ国立公園をめぐるバスの旅のスタート。
大きな荷物を置きやすいように最後部を確保し、今度は眺めのいい進行方向右側に陣取る。
行きのキャンパーバスは動物の出現を大声で知らせてくれるだけだったが、このバスはマイク完備。しかも、より丁寧に説明してくれた。
バスはグリズリー、ムースなどを発見するたびに止まった。つい、数時間前まではあんなにも恐ろしかった野生動物たちも、車窓から見ると愛らしく見える。
周囲のキャンパー同士で双眼鏡を貸し借りしながらワイワイ楽しむ。
車窓からは遠くにデナリ山とマッキンリー川らしい流れが見える。
私たち2人も、あんな原野で奮闘していたのか・・・悪戦苦闘した泥の河川敷も。そんなことを振り返っていると、バックカントリーキャンプの雄大さを改めて実感する。
途中、いくつかのビジターセンターなどで休憩しながら進む。その後もバスはときどき止まっては動物の説明をしていたようだが、バスの心地よい振動とポカポカ陽気の中で一気に眠気が襲ってきた。
今朝までの緊張が解けたせいもあるのだろう。開け放した窓からは気持ちのよい日差しと風が吹き抜け、しばしまどろむ。
デナリに別れを告げ
揺られること5時間。
17時半前には懐かしのライリークリーク・キャンプ場に到着。駐車場に行ってみると、愛車が2人の帰りを律義に待っていてくれた。
レンジャーにベア缶を返すためビジターセンターまで車を走らせるも、ビジターセンターはすでに閉まっていた。
だが、彼女が返却ポストを発見。苦楽をともにしてくれたベア缶、どうもありがとう!とポストに投函。
しかし、こんなに手軽に無人ポストでベア缶を返却できるとは・・・・予定通りにバックカントリーから生還できなかったとしても、レンジャーが行方不明かどうかをすぐに判断できないはずだ。
3泊した思い出いっぱいのデナリ国立公園に別れを告げる。いつの日か再訪することを誓って。
進路を北へ
車を走らせ、フェアバンクスへ向かう。
と、その前にもう1カ所寄りたい場所があった。HEALYという街にあるブリュワリーだ。
しばらくビールも飲んでおらず、まさに「喉から手が出る」ほど飲みたかったのもあるが、本当の目的はビールではない。映画「INTO THE WILD」に使われたバスを見てみたかったのだ。
ここは映画のモデルにもなったクリストファー・マッキャンドレスがアラスカの原野に入り、生還できぬままバスの中で24歳の生涯を遂げた地だ。
車中でマッキャンドレス氏が亡くなったバスは、HEALYの街から数マイル先にあるトレイルヘッドから20マイルほど歩けば着くという。
(注:バスは2020年6月に撤去されたとのこと・・・)
私たちの目的は本物のバスではなく、撮影に使われた複製バス。ブリュワリー「49th State Brewing」にあると聞き、北上した。
ブリュワリーに到着。車を止めると早速バスが見える!
レプリカとは言え、雰囲気は十分。ご丁寧にバスの前にはイスも置かれていたので写真撮影。
生前のマッキャンドレス氏が撮った写真と同じポーズで撮ってみた。
ここでは多くの来訪者が彼を偲び、記念撮影をしていくいくそうだ。
本物のバスを見に行こうかとも考えたが、彼の生還を阻んだ川はいまも水量が大きく変動し、トレッキングには注意が必要との説明も聞いた。
映画や書籍を読んで彼の生き方に憧れ、終焉の地を訪ねる人も多いとか。なかには彼と同じように車中で寝泊まりする人もいると聞き驚いた。
だが、彼の足跡をたどろうとして川に流されて亡くなったり、レスキューが出動したりする事故も続出。実際、私たちの訪問後にもハイカーが川に流され死亡。
結局、これ以上の遭難事故を防ごうと、地元当局によってバスは撤去されることになったという。
レプリカを前にマッキャンドレス氏のご冥福をお祈りし、手を合わせる。
ビールの誘惑をふりほどきフェアバンクスまで走る。
最北の地ビールを
20時ごろフェアバンクスに到着。
緯度が上がったせいか、アンカレッジよりも夜が明るい。
ホテルにチェックインし、荷物をほどく。寝袋を広げたり、キャンプ用品を整理したりと大忙し。久しぶりに屋根のある生活だ。
ホテル内のランドリーが22時で閉まるらしいので、慌てて洗濯物を放り込む。
しかし、お腹も減り、のども渇いた。
アラスカ第2位の都市とはいえ、人口約3万人のフェアバンクス。しかも、日曜の夜。
飲食店の閉店時間も迫っている。ましてや、美味しい地ビールを飲もうと思えばなおさらだ。
洗濯を待っていてはビールは飲めない。
ビールを飲みに行くと洗濯はできない。
大いなるジレンマを抱えつつ、洗濯を乾燥機に放り込んでから出発することに。ビールを1、2杯飲んでからホテルに帰ることに決めた。
ホテルから3ブロックほどの「Lavelle's Taphouse」に入る。地ビールが勢揃い。何を選ぶか迷ったが2人が大好きなIPAを注文。
うまい。うますぎる。
ビールってこんなに美味しかったっけ?と涙がにじんでくる。バックカントリーキャンプの成功を祝って乾杯!
軽食もない硬派なビアハウスだったため、一度ホテルに帰って洗濯物を収容。車を運転して、近くのスーパーにサラダやピザを買いに行き、部屋で晩餐することにした。
そう、私たちが敢えて狙ったこのスーパーこそ、「どうでしょう班」がキングサーモンを買ったあの「Fred Meyer」。
私たちの御用達、オレゴン州・ポートランド生まれのFred Meyerのフェアバンクス店。しかも、ここに大泉さんや鈴井さんらが訪れたと思うと感動もひとしおだ。
店内を思う存分散策したい気持ちにかられるが、時間がないので急いで買い物をしてホテルへ戻る。
部屋に戻ってサラダ、酒のつまみ、そしてまたまたビールで乾杯。
お腹いっぱい食べ、美味しいビールを飲んで語っていると時刻はもう23時半。
今朝、デナリの原野で目覚めたとは思えない。人間はどんな環境にもすぐになじむものらしい。
さすがに長い一日。そして、久しぶりのベッド。2人とも意識を失うかのように眠りに落ちてしまった。
(なお)
この日の走行距離=130マイル
総走行距離=595マイル
★私から一言★
四国の里山で育った私にとって、山林で食べられる木の実をぷちぷち食べながら歩くのはごく普通のこと。とりあえず美味しそうなら口に入れてみる習性があり、ハックルベリーも一粒食べると、木イチゴみたいな甘酸っぱさ!
もしもの時のため水を節約したい思いもあり(目の前にクリークはあるけど飲まない方がベター)、ベリーで喉を潤しながら進みました。
実は私は日本にいる間はあまりブルーベリー系が好きじゃなかったのですが、この時に味をしめ、以降、アメリカにいる間はハイキング中にとどまらず散歩中でも道ばたにベリーの樹を探すことになります(笑)
でも日本に帰ってくると、なぜかブルーベリーがあんまり美味しくないんだよなぁ・・・。空気でしょうか。
さて、おっかなビックリ挑戦してみたバックカントリー。本格キャンパーの方には笑われる程度の原野体験かもしれませんが、デナリだからと浮かれず、Into the wildしすぎず、身の丈にあったプチ冒険をできた気分です。
「またやりたいね!」と目をキラキラさせるなおさんには「蚊がいなければね」と答えた私ですが、うーん・・・蚊のうっとうしさを忘れた頃に誘われたら、またホイホイ行ってしまうかも。
(のん)
DAY6「文明への帰還」はおしまい。
アラスカDAY7 めざせ北極圏 - アメリカ横断2人旅へ続く。