アメリカ横断2人旅

めざせNY→LA完全走破!新婚旅行ドライブ挑戦記

準備編② 真のキャンプとは

 

キャンプはキャンプでも

私たちが予約したキャンプ場は「Wonder Lake(ワンダー・レイク)」。デナリ国立公園内ではバスでしかたどり着けない最深部だ。

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たき火は禁止。シャワーもなし。そんなに快適な場所でもないのだが人気はある。

それは、デナリ山に最も近づけることができるキャンプ場だからだ。我々もそこに魅力を感じた。

だが、泊まりたいと思った最大の理由はそれだけじゃない。

私たちが挑戦しようとしていた「バックカントリー・キャンプ」エリアの拠点ともなるキャンプ場だったからだ。

 

 

 バックカントリー・キャンプとは

自然をこよなく愛するアメリカ。自然保護にも力を入れるアメリカ。

「せっかく大自然に来たのに、人間に会いたくない!」「人間が整備した施設なんか見たくもない!」という発想から、手つかずの原野に泊まるというキャンプスタイルがある。それがバックカントリー・キャンプだ。

指定された広大なエリアを独り占めできる。が、もちろん水道もトイレもない。

それどころか、「人間の痕跡を残してはいけない!」という掟まであり、「歩くときは足跡すら残すな!」という指示まであったことには驚きだ。

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デナリ国立公園サイトより

デナリ山を眺めながらのキャンプなど、この先の我々の人生でそうそうないチャンス。それなら、普通のキャンプだけでなく、ぜひバックカントリー・キャンプもしてみたい!

そんなことをひそかに考え続け、「もう行くしかない!」となかば決めかけていたのだが、いくつか不安もあった。

 

 

心配あれこれ

まずは、事前予約ができないこと。

デナリ国立公園まで行ってレンジャーによる講習を受けなければ、バックカントリー・キャンプの許可証はもらえないらしい。なので、ひとまず現地に行かなければ話が進まないのだ。

 

そして、天気。

せっかく現地まで行って許可証をもらったのに、土砂降りではさすがに悲しい。直前まで天候を見極める必要があると考えていた。

 

そして、過酷さ。

いったいどのぐらいハードなのか。登山好きの我々だが、日本の3千メートル級を登山道に沿って歩く程度。冬山に挑んだこともなければ、過酷なテント生活の経験もない。

 

そして・・・クマ。

アラスカの別名は「Bear Country」。なるほど、クマがあふれかえる国。そんな原野で2人きりの我々が彼らにばったり遭遇してしまったら・・・。

 

などなど、考えれば考えるほど不安はつきない。

こんな素人同然の私たちでも大丈夫なのか。レンジャーの話を聞いてから、決行すべきかどうかの最終判断してもよいのではないか。

あまりにも厳しそうなら、バックカントリーは断念してワンダー・レイクに泊まるだけでも十分ではないか。「デナリでキャンプした!」と胸を張って帰国できるのではないか。

そんな思いをいだきながらアラスカ旅行の準備をしていた。

 

バックカントリ-・キャンプの詳細は旅日記でご紹介するが、ここでは準備編として簡単な事前情報だけを記す。

 

 

バックカントリーに挑むために

まず、前述の通り、他のキャンプサイトはネットで事前予約ができるが、バックカントリーは現地での手続きが必要となる。ビジターセンター内に受付がある。

講習といっても、ビデオを見た後でどんなキャンプをしたいのかレンジャーと相談する程度のもの。テストがあったり、アウトドア経験を厳しく問われるようなものではないのでご安心を。f:id:ff_galene:20200215124817j:plain

 

バックカントリーは「ユニット」と呼ばれるエリアを自分たちで選び、その範囲内でキャンプを楽しめるようになっている。

ユニットは全部で87カ所。ただし、デナリ山登頂をめざしたり、氷河を渡るプロ登山家レベルのものも含まれているので、家族向けや一般向けのユニットは43カ所。

それぞれのユニットには人数制限があり、早い者勝ち。逆に言えば、ひとり占めできる可能性もある。

 

私たちが選んだユニットはJR山手線の内側を占めるほどの広大な面積。なのに2人きりだった。どこまで行っても2人だけ・・・なんとも贅沢なキャンプである。

ユニットは国立公園を貫く道沿いにも広がっているので、わざわざ最深部まで行かなくても選ぶことはできる。

ただ、我々は原野の先に広がるデナリ山を間近で見たかったので、ワンダー・レイクから歩いていけるユニットを選択した。

どのユニットを選ぶかは、希望やスキルを伝えながら当日レンジャーと相談して決めることができる。制限人数が超過していなければ無事に許可証をもらえる。

料金は無料。国立公園の入場料が必要なだけ。

 

バックカントリー・キャンプに関するデナリ国立公園のサイトはこちら

https://www.nps.gov/dena/planyourvisit/backcountry.htm 

英語だが、Google翻訳を使っても十分意味がわかる内容です!

 

 

お次はバス

無事にユニットを決めたら、次はバスの予約。

国立公園の入り口付近、または無料バスで移動できる範囲をのぞけば、キャンパー専用バスの予約が必須だ。

ネットでも事前予約可能だが、不明な場合はビジターセンターではなく、バスデポ(Bus Depot)で予約もできる。

ビジターセンターとかバスデポとか手続きに立ち寄る場所が異なるのが面倒くさいが、位置関係は以下の通り。ワンダーレイクキャンプ場の遠さもよく分かる。

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バス予約の際に迷うのが、バスの種類の多さ。同じルートを走るバスだが、キャンパー専用、トランジットバス、ツアーバスなどさまざま。

大半の来園者はバス観光が目的で、運転手による動物ガイドなどのサービスもある。行き先、乗車時間にもよるがツアーバスの料金は高めの設定。

だが、トランジットバスは基本的に移動のためだけのバス。親切な動物ガイドは期待できない代わりに、料金は安め。また、ルート上であればどこでも途中乗り降りが自由という優れもの。

さらにキャンプ利用者だけが乗れるキャンパーバスはもっと料金が安い。

動物ガイドがないといっても、私たちが乗ったときは、運転手さんが野生動物を見つけるたびに一時停止してくれ、「ほら、左手の向こうに見えるぜ」的なアナウンスもしてくれた。

 

バスに関するデナリ国立公園のサイトはこちら

https://www.nps.gov/dena/planyourvisit/visiting-denali.htm

 

  

デナリの王様

バックカントリー・キャンプは自然との闘い。厳しいルールがいくつもある。というよりも、そのほとんどがクマから命を守るためのルールだった。

そう、ここはクマ王国なのだ。

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デナリ国立公園サイトより

食料など一式はクマの襲来をさけるためテント内に持ち込めないばかりか、「ベアー缶」とも呼ぶ専用コンテナに入れる。さらに遠く離れた場所に保管するなどルールはいくつもある。

ただ、こうしたベアー缶は無料で貸してくれるので事前に準備しなくても大丈夫。(注:私たちが旅したときはそうでした)

 

 

 いざ、アラスカの旅へ!

準備として必要なのはこんなところ。

あとはテント、寝袋、トレッキングシューズ、雨具などなど普通のキャンプでも必要な装備なのでここでは省略。

 

毎年、どのぐらいの日本人がデナリのバックカントリー・キャンプに挑んでいるのか分からない。少なくとも、我々が滞在中には1人も見かけなかった。

ただ、私たちは事前にバックカントリー・キャンプの情報が知りたく、いくつかのブログを拝見し、参考にした。

こうした諸先輩方のキャンプ記に触発され、デナリに行きたい気持ちを募らせたのだった。

なので、このブログが新たなバックカントリー・キャンプ挑戦者の参考になればこんなにうれしいことはありません。

では、いざ旅立ちのとき!

(なお)

  

 

★私から一言★

「登山好きな2人」なんて言うけれど、私は登り道の続く山では必ず終盤には10歩ごとに休憩を要求するヘタレです。

バックカントリー・キャンプについては事前に「広大な原野でのキャンプ!」ぐらいしか聞いておらず、詳細を知った時には(アラスカに発つ直前ぐらい)、かなり及び腰でした。

「一生に一回だよ!」「キャンプ好きとしてずっと憧れていたんだよ!」などなどの請願陳情を受け、「まあ、やってみてもいいかな」なんて気になったのが良かったのか悪かったのか、ノー・リターン・ポイントに来てしまった時にはクマ以上に厄介な敵と遭遇したのでした。詳細は本編にて!

長らく間があきましたが、当時たくさん書き留めておいたメモと記憶を頼りに、アラスカ編、頑張ってまとめてみます。

言ってるそばから、耳元でわんわん鳴ってたデナリの蚊の羽音が甦ってきました・・・。

(のん)

 

 

準備編②「真のキャンプとは」はおしまい。

アラスカDAY1 遥かアンカレッジに白夜は・・・ - アメリカ横断2人旅へ続く。