準備編① アラスカとは
アラスカとは
北米大陸の北西に位置するアラスカ。カナダを挟んだ飛び地のため、アメリカ本土から車で行こうとすると、カナダ国境を越える海外旅行となる。
今回はアラスカ州最大の都市アンカレッジから北極圏へ向かって走れるだけ走ってみようと計画した。
縦断といっても、幹線道路が続くのは北極海に面する油田基地の街、Prudhoe Bay(プルドー・ベイ)まで。石油パイプラインと並行するその道は、北へ行けば行くほど未舗装となり、一般の観光で訪れるにはあまりに悪路すぎるらしい。
そこで、私たちはアンカレッジを起点として北極圏に突入。「水曜どうでしょう」ファンにはおなじみの「Coldfoot(コールドフット)」をひとまず目的地と定め、アラスカ行きの準備を進めた。
アンカレッジからコールドフットへは600マイル(約1000キロ)ほど。アメリカ横断で4300マイル走破を経験している我々からすれば、楽勝なドライブのはず。
そして、せっかくアラスカまで行くのなら、ただ車を走らせるだけなのはもったいない。
そこで、今回の旅のテーマを二つにしぼった。
①観光地をめぐるドライブを楽しみながら北極圏到達
②デナリ国立公園の大自然の中でキャンプ
なので、上記目的でアラスカへ旅行を予定しているひとの参考になれば幸いである。
まずは、ルート
旅の日程は7泊8日。自宅のあるオレゴン州ポートランドから、アンカレッジまで車で行くことも計画したが、その距離約2500マイル(約4000キロ)。行くだけで疲れてしまいそうなので、空路でアラスカに入ることにした。
起点はアンカレッジ。ユーコン川を渡り、北緯66度33分の北極圏をめざし、さらに走れそうならColdfootまで行きたい。
そして、その道中のデナリ国立公園にも寄りたい。
さらに、魅惑の氷河にもいくつか寄ってみたい。
欲張っているうちに、なんとなく下図のようなルートを考えた。
前回の横断でも感じたことだが、おおよそのルートを決めておけば、あとは当日の気分次第で変えることこそドライブ旅行の醍醐味。
特に今回は、テント持参なので宿泊場所には困らないはず!と根拠のない自信をもとにルートを選び終えた。
なお、オーロラを見るには秋から春にかけてがベストシーズンだが、今回は7月の旅を決行。「白夜」とまではいかないまでも、太陽がなかなか沈まないアラスカの夏を楽しむことにした。
レンタカー
日本に比べ、レンタカーが安いと感じる自動車大国アメリカだが、アラスカの相場は意外に高い。
インターネットでいろいろ探した結果、私たちが毎度お世話になっているHertzレンタカー提供の「店長のスペシャル」にした。
「どんな車種になるかは、当日のお楽しみ!」との宣伝文句。まぁ、スペシャルと言っても当日空いてる車に乗れるだけなんだけれど。少し迷った。
「どうでしょう班」がコールドフットめざして走った「ダルトン・ハイウェイ」は、ハイウェイとは名ばかりの砂利道の悪路だったことを思い出したからだ。
番組では、わざわざドライバーまで雇って走っていた。こんな道を走るなら、デカいアメ車、少なくとも4WDじゃなければマズイのでは・・・と考えたからだ。
「店長のスペシャル」は小型車の可能性すらあるらしい。しかし、大型車の料金はあまりにも高すぎる。
「ええい、ままよ」とばかり、7泊8日で900ドルの上記プランをネットで予約。当日を心待ちにすることにした。
なお、レンタカー会社の規約(ものすごく小さな字で書かれている)をよく読むと、「ダルトン・ハイウェイなどで事故を起こしたときの車の搬送費用等の全責任は利用者が負う」とある。さすが、自己責任の国、アメリカ。
レンタカー会社によって制限事項は異なりそうだが、アラスカをドライブする際は注意事項が多いのも事実。事前に確認しておくことをおすすめします。
なお、私たちはアンカレッジ国際空港で借りた。選べるレンタカー店も車種も多いので、これまたおすすめです!
キャンプにそなえる
アラスカを観光ドライブするだけの人はこれで準備十分。あとは、イメージを高めていくだけ。Let's go!
ここからは、キャンプを楽しみたい!というアウトドア派のみなさん向けに。
日本で暮らしていたときは、数えるほどしかキャンプをしたことがなかった我々2人。だが、キャンプ天国のアメリカでその魅力に目覚めてしまった。
しかも、せっかくのアラスカ。これは行くしかない。そう、デナリ国立公園に!
Denali National Park & Preserve (U.S. National Park Service)
デナリ国立公園のオフィシャルサイトを開いてみる。トップ画面は北米大陸最高峰のデナリ山(旧称マッキンリー山)。この山を間近に眺めるのが、小さいころからの夢だったのだ。
もちろん、デナリ国立公園はキャンプをしなくても、ドライブだけでも十分楽しい。けれど、園内の大半は車乗り入れ禁止。バスによる観光がメインとなるが、その広さは2万4600平方㌔メートル。四国の1.3倍!
園内にただ一本だけ通る道「Park Road」を走るバスツアーが人気だが、公園入り口からバスで行ける最も奥まで片道約5時間半。
日帰りで行くと、早朝に出発して夕方に帰る人が大半となってしまうのだ。せっかく行くのに、これはもったいない。
そこで、デナリの魅力を楽しむに欠かせないのがキャンプだ。
デナリ国立公園には6カ所のキャンプ場がある。
熱いシャワーに水洗トイレ、コインランドリー完備で家族で楽しめるキャンプ場から、飲み水すらないキャンプ場までさまざま。当日の早い者勝ちのキャンプ場もあるが、大半は事前のネット予約も可能。
そこで、キャンプ場一覧をまとめてみた。
(2019年夏時点の情報)
一番人気は、ビジターセンターやバス乗り場など公園の中枢機能が集まる場所にある「Riley Creek(ライリー・クリーク)」キャンプ場。
上図のように公園入り口にも近く、アクセス良好。テントサイト数も多く、予約しやすい。携帯もつながるし、近くにはシャワーがあり、コインランドリーまである。
さらに、食品、日用品、なんと冷えたビールまで買うことができる!まさにオアシス的存在だ。
「デナリの雰囲気を感じたいけれど、厳しいキャンプは心配」という人でも大丈夫。
テント横に車を横付けできるサイトは24ドル。近くには広い駐車場もあるので、ここに車を置き、テントだけかついでキャンプをすれば15ドル。
予約可能なテントサイト数も127。いずれにしても便利なこと間違いなし。
小さな子どもを連れてキャンプするにはもってこい。まさにデナリキャンプの入門編だろう。私たち2人もまずはここで1泊して雰囲気をつかむことにした。
残るキャンプ場は、公園を貫く道「Park Road」沿いにある。
一般車が乗り入れられるのは、「Savage River(サベージ・リバー)」キャンプ場の先まで。例外的に、「Teklanica River(テックラニカ・リバー)」キャンプ場を利用する人だけが自家用車で入ることができるが、キャンプ場まで29マイル(約50キロ)。
デナリのキャンプは、奥に進むにつれて険しくなる。
そして、デナリを本格的に楽しもうと私たちが目指したのが、公園の一番奥にあるキャンプサイト「Wonder Lake(ワンダー・レイク)」だ。
「ワンダーな湖!」という魅力的な響きとは裏腹に、我々は過酷なキャンプを経験することになる。
私たちがなぜデナリ国立公園の最深部を目指したのか。どうしてここに泊まることになったのか。
そこには深い深い事情があったのだった。
(なお)
★私から一言★
プロローグを書いておいて1年以上も放置って、真剣にブログを書いている人からしたらあり得ない怠慢です。日本で働くって本当に心の余裕がないってことなんだなぁ・・・と言い訳してみる。
長らく間があきましたが、当時たくさん書き留めておいたメモと記憶を頼りに、アラスカ編、頑張ってまとめてみます。
言ってるそばから、耳元でわんわん鳴ってたデナリの蚊の羽音が甦ってきました・・・。
(のん)
準備編①「アラスカとは」はおしまい。