アメリカ横断2人旅

めざせNY→LA完全走破!新婚旅行ドライブ挑戦記

DAY10 サンタモニカに夕陽が沈む

 

さぁ、LAへ

4月12日、8時半起床。再び快晴で最高の青空。

この日は日程に少しだけ余裕があったので、久しぶりに朝寝坊した。ホテル内のショッピングモールでメキシカンの朝食を食べ(すっかりお気に入り!)、美味しいコーヒーもテイクアウト。スーツケースをコロコロ転がしながら、広いモール内を再横断して駐車場へ。

昨日ラスベガスに到着したときは夜間で道もわかりにくく心細かったけれど、青空のさわやかな朝のベガスを走るのは不思議と気持ちがいい。

いよいよ最終目的地、ロサンゼルスへ向けて出発!

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ワイルドで行こう!

ベガスの街を抜けると、再び荒涼とした風景が広がる。インターステート15号線を走り、まさに「アメリカの荒野」と呼ぶにふさわしいモハーヴェ砂漠へ突入。

すると、まるで映画みたいに大型のハーレーが爆走している。これぞアメリカ!

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まさに映画『イージー・ライダー』の世界だ! と思っていたら、彼がおもむろにiPodを操作し、映画の主題歌、「Born to be wild🎵」とステッペンウルフの歌声が。

どうやら昨晩ダウンロードしていたらしく、爆音でがんがん鳴らして砂漠を進む。雰囲気が出るので、アメリカドライブには必須です!

  

 

旅先のカフェで

順調に車を走らせ、ついに全米横断の最後となるカリフォルニア州へ。緑豊かな大地をイメージしていたが、まだまだ砂漠地帯が広がる。

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ところで、LAに真っ直ぐ向かう前に、私たちには立ち寄る場所があった。目的地は、これまたモハーヴェ砂漠の真ん中、ルート66沿いにあるバグダッドカフェ」。

1989年公開の映画『バグダッド・カフェ』の撮影が行われたお店で、旅程に余裕のあるこの日に「行きたい!」と私が強力プッシュしていたのだ。

ベガスからは150マイル(=約235キロ)先のこのカフェ。Barstowという街の手前でインターステート15号線を下り、砂漠地帯を走る。荒野の中だが、ところどころにスプリンクラーが水をまき散らす緑いっぱいの畑も広がる。

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旧道沿いに一旦東に戻り、バクダッドカフェに到着。

周りには何もなく、「なぜこんな場所でカフェを!?」と思わずにはいられない。うら寂れた雰囲気は、気だるさ漂う映画の中のモーテル兼カフェにそっくりだ。

映画では、このカフェにドイツ人の太っちょヤスミンがやってくる。ドライブ旅行の最中に夫とケンカして荒野の真ん中に放り出されるのだけど、ヤスミンは気にしない。

モーテルをせっせと掃除して子供たちと仲良くなっちゃったり、同じく長逗留している画家にヌードモデルを頼まれたり、最初は胡散臭く思っていたオーナーのブレンダ(いつもキレ気味)も、いつしかヤスミンの不思議な魅力に惹かれ、友情を育んでいく。

 

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広大なアメリカで一軒のカフェを目的地にするなんて不思議な話だけれど、映画に漂っていたゆる~い空気感をぜひ味わってみたかった。

実際の店は「本当に営業しているのかな?」という雰囲気で、恐る恐るドアを開けてみると、壁にも天井にも世界中から訪れた人たちが貼り付けた名刺やメッセージカードがびっしり!

店内には先客らしき3人の姿があるものの、カウンターに出入りしたりしていて、誰が店員なのかわからない。お土産グッズか店の備品かわからないものもごちゃっと陳列されていて、このカオス感、まるで映画みたいだ。

よく見ると赤いTシャツを着たおばあちゃんが一生懸命対応している様子。恐らく店員だろうと思って声をかけると、好きなところに座ってくれとのこと。

映画で「薄いッ!」と文句を言われていたコーヒーとパンケーキを頼み、彼は持ち帰り用に「バッファローバーガー」を注文。

コーヒーは確かに笑っちゃうほど薄かった・・・。

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隣席にはイタリアからのカップルが座り、記念写真を撮ってもらう。

お店の片隅にはジュークボックス。近所に住んでいる人だろうか、ときどき常連さんみたいな人も現れ、お店のおばあちゃんとおしゃべり。地球の歩き方にも載るぐらい有名な(?)カフェだけど、観光地化しているわけでもなく、のんびりしている。

私たちもついつい長居し、1時間ほど過ごしたのだった。

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今度こそLAへ

今度こそLAへ。と、その前に、私にはもう1カ所寄りたい場所があった。

これまた地球の歩き方情報で、ちょうどこの先にCalicoという街ごと保存したゴーストタウンがあるらしいのだ。荒野のゴーストタウン!それ魅力!!

昨日、大隕石孔に行く途中にも打ち捨てられた街の跡があり、実は興味津々だった私。全く乗り気じゃない彼を、「蜘蛛の巣のあとまで残ってるらしくてさ」「お化けが出てきそうな雰囲気らしいよ」と懸命に説得する。

「そこまで言うなら・・・」と彼も折れ、高速を下りてその名もゴーストタウン通りを走って「Calico Ghost Town」へ。

しかし、近づいてみると、山肌にハリウッドを思わせる「CALICO」の看板がでかでかと掲げられ、エントランスではしっかり入場料(大人8ドル)を取られた。なんか・・・思ってたのと違う・・・。

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確かに昔の街の家具や衣服を展示してあるし、木造の建物は西部開拓時代を思わせ、それっぽい。でも・・・なんだろう、このテーマパーク感。

例えるなら日本の「懐かしの昭和村」みたいな感じで、寂れた街を期待していた私には全くの肩すかし。炎天下、30分ほどフラフラと歩いたけれど、「うん、もういいや・・・」とそそくさと出立したのでした。

CalicoはB級観光地が好きな人以外には全くオススメできません・・・。

 

 

気を取り直してLAへ

最終目的地のサンタモニカまでは残すところ約150マイル(=約240キロ)。長い長い旅の終わりが見えてきたということもあり、何だか寂しさも募ってくる。

ナビによると、予定到着時間は夕刻。明日の夜はバスケ観戦のため太平洋に沈む夕焼けが見られない。なので、なんとかして日没前にホテルに到着したいと車を飛ばす!

LAへのドライブは順調。インターステート15号線から、I -10に乗り換え。LA郊外あたりから車線は5車線、6車線・・・とどんどん増え、乗り入れる車も激増。

車線変更するのも一苦労。そのくせ、ほとんどの車が80マイル(=時速約125キロ)以上で走っている。

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インターチェンジの乗り換えも複雑になってきた。というか、ナビに表示される高速道路が多すぎて、まるで網の目のよう。ナビを凝視しつつ、必死の運転が続く。待ち焦がれたLAなのに、バグダッドカフェ周辺ののんびりとしたアメリカが懐かしい。

それでもLAの街並みが見えてくると、「ついにここまで来たか!」と万感の思いがこみ上げてくる。

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太平洋に到達!!

ホテルまで残り5マイルを切ったのに、まだまだ複雑な高速の乗り換え指示が続く。やっとの思いで最後の出口を出て、ようやくサンタモニカに到着!

 

最後の宿泊地となるホテルも無事に発見。ホテル駐車場は2日で70ドル。しかもバレーパーキング(車を出し入れしてくれる係員にチップが必要なのです)なのが少々面倒くさいので、近くの公共駐車場へ。こちらは2日で30ドル。節約節約。

最後のホテル「Ocean View Hotel」は、彼曰く「今回の旅で一番厳選したホテル」。ビーチ沿いにあって海を眺めることができるホテルは軒並み高い。それでも、新婚旅行の最初のNYと最後のLAは奮発しようと決めていたらしい。

 

事前にメールでリクエストしていたこともあり、フロントの女性は「新婚旅行おめでとうございます。うちのホテルで一番の部屋ですよ」とニコリ。何度も言うけど、アメリカ人のこういうさりげない親密さっていいなと思う。

部屋のドアを開けると、バルコニー越しにはサンタモニカのビーチが広がっていた。

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時刻はまだ17時。早速、散策を開始!

まず向かったのは、ホテルから歩いて5分ほどのサンタモニカピア。大西洋に突きだした桟橋沿いにはお土産屋やらレストランが並び、多くの観光客が行き交う。

ここにはルート66の終点を示す看板も。アメリカを横断した実感をかみしめる。

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桟橋の先端へ進む。目の前には旅のゴール、太平洋が広がる。

夕暮れが近づき、潮風が少し冷たく感じるけれど心地よい。この海が日本につながっているんだと思うと、遠くまで来たような、近くまで帰ってきたような不思議な気持ち。

オレンジ色の柔らかい光が海を包む。旅の終わりを祝福してか、桟橋の先端にはアシカまで泳ぎにやってきた。

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風が冷たくなってきたけれど、サンタモニカビーチへ。大きな波が打ち寄せる砂浜で、ビーチサンダルを脱いで海に足をつけてみる。

冷たい。海に入ったのはメキシコ湾以来。ビーチで遊んでいるうちに、いつしか空は深い藍色に染まっていく。

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寒くなったので一度ホテルに戻り、サンタモニカの街をぶらり。

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有名なサードストリートに繰り出してみる。平日の夜ながら、多くの人がまだ買い物を楽しんでいる。噂どおりサンタモニカは治安がよさそう。

すっかりリゾート地の風情にひたって、普段なら絶対行かないアバクロにも行ってみた。

 

「海外まで来てショッピングに没頭するなんて、旅をわかってないよねぇ」なんて2人で悪態をついていたくせに、いざ入ってみるとあまりの安さにびっくり。

「日本なら1万はするのに半額以下だよ!」「お土産にいいんじゃない?!」とはしゃぎ、「海外でショッピングってのも悪くはないかもね」とあっさり転向したのでした。(とは言え、この旅で買った服、日本で着るだろうか・・・)

 

思わぬ買い物にホクホクしながらさらに通りをぶらり。夕飯はここまでの旅の成功を祝い、ワインで乾杯することに。いくつかお店をのぞきつつ、賑わっているお店に入る。

スパークリングワインはボトルしかなかったものの、ダメもとで訳を話すと、店員さんがグラスでのオーダーを快くOKしてくれた。

新婚旅行アピールはどこに行っても効果があるものだ。

 

注文した料理も味付けが抜群にいい。よくわからず頼んでみた料理が山盛りの貝だったのには思わず笑ってしまったけれど、契約農場で採れたという野菜の料理は新鮮で味も濃く、ワインがどんどん進んだのだった。

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すっかり酔っ払ってホテルへ帰る。シャワーを浴びた後、私はバスローブにくるまれてべッドにバタリ。ビーチに打ち寄せる波の音を聞きながら、眠りに落ちたのでした。

(のん)

  

 

この日の走行距離=320マイル

総走行距離=4250マイル

  

 

★俺から一言★

最終目的地のLAに到達したこの日は、何かと感慨深い一日だった。

ベガスを出発して砂漠地帯を走って向かったカリフォルニア。緑あふれる豊かな土地という勝手な想像を抱いていたけれど、実際は荒野の連続。

怒りの葡萄」のように、思い込みと現実のギャップにびっくり。さらに驚いたのはバクダッドカフェ。なぜあんな場所にお店を・・・それでも、なぜか心地よく長居したくなる不思議な空間。オススメです。

 

LAの宿泊先に選んだサンタモニカ。その桟橋に立ち、目の前に広がる太平洋を見ていたらなぜか胸がいっぱいに。

大西洋、メキシコ湾を見たときは、「知らない海だなぁ」という思いが先だったけれど、初めて訪れたLAからの太平洋にはなぜか懐かしさを感じた。アメリカ横断でようやくたどり着いた海だっただけに、感無量になったのかもしれない。これまた不思議です。

ちなみに本文でも書きましたが、「新婚旅行です」という言葉は、まさに魔法の言葉。ホテル、レストラン、写真を撮ってもらうとき、アメリカではどこでも必ずお祝いされます。

日本でもそうありたい、そんなカップルを見かけたら祝福してあげたい、そう思わずにはいられない貴重な体験でした。

(なお)

 

DAY11に続く。

DAY11 We Love KOBE!! - アメリカ横断2人旅

DAY9夜編 光の海ラスベガス

 

まばゆい光に迎えられ

リゾナ州からネバダ州のラスベガスを目指す。

時刻は夕暮れ。赤い空の下、国道93号線を走っていく。

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アメリカ横断の旅は時差の面で「東から西を目指すのがいい」と準備編で書いたが、実は夕暮れ時のドライブでもメリットがある。西に向かって夕陽を追いかける形になり、暗くなるまでの時間が遅いのだ。真っ暗な夜のドライブはツラいので、これは心強い。

そんな大げさと思うなかれ。それだけアメリカの空は広い。横断の旅ではきっと誰もが西に夕焼け、東は夜という不思議な逢魔がどきを体験すると思う。

 

とは言え、さすがにネバダ州が近づく頃にはすっかり日も落ちた。

州境に位置するコロラド川の峡谷にはフーバーダムがある。「あっ!ここが『トランスフォーマー』の舞台か!」と内心うずうずするも、真っ暗で何も見えないから当然スルー。(映画ではダムの奥にメガトロンが冷凍保存されていました)

 

ダム湖畔の山あいの道を進んでいくと、時々派手な電飾のカジノホテルも現れて、いよいよラスベガスに近づいている感じ。州間高速道路のI-515に乗り、大きなカーブを右へ左へ曲がる。

そして丘を越えて下り坂になった時、いきなりフロントガラスの向こうに光の海が現れた!

 

まばゆいばかりのラスベガスの街の明かりだ。暗い山道から一転、あまりの光の量に彼も私も思わず「うわー!」と叫んでしまう。

運転中の彼が「写真撮って!写真!!」と急かすも、走行中の車の窓からじゃ手ぶれしまくりで全く撮れず・・・。

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ぎゃあぎゃあ騒いでいるうちにベガスの街に入り、感動もつかの間、車線も交通量も一気に増える。

4車線も5車線もある広い通りの両側にど派手なネオンの高層ホテルが立ち並び、頭の上からも隣の車からも大音量の音楽ががんがん鳴り響く。

ナビは予約したホテルへの道筋を淡々と示してくるけど、入り組んだ街なかの通りはどこで曲がるかわかりづらい。どうでしょう班が道を間違えたのも納得だ。

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ようやく目当てのホテルの前に着いたものの、いったい駐車場はどこなのか? 路地を曲がろうとするも、歩道にあふれる酔っ払った観光客たちは信号が青になっても全然車に道を譲ってくれない。

なんとか駐車場を見つけ、やっと部屋で落ち着けると思ったら、今度はホテルが巨大すぎて、延々ホテル内のショッピングモールを歩く羽目に。

やっっっっと部屋までたどり着いた時、私の口から漏れたのは「お山に帰りたい」の一言でした・・・。

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時差の謎

フロントのおばさまが「最高にいい部屋を用意したよ」と笑顔だったのはウソではなく、部屋の窓からは向かい側にあるベラッジオホテルの大噴水が見下ろせた。

懐かしんでもお山は遠し。せっかく時差のボーナスもあることだし、ホテルのアトラクションを観に出かけよう! と部屋の時計を見たところ、あれ・・・21時だ。おかしいな、時差を調整していない自分の腕時計と同じ時刻を指している。

 

アメリカには4つのタイムゾーンがあり、西から東へ進むとゾーンごとに1時間ずつ時刻が戻るので、私たちはこの旅で3回得をできるはずだった。f:id:ff_galene:20160506014651j:plain

 

その最後の境界がネバダ州。21時に着いても、ラスベガスは20時のはず。なのに、なぜ?

実はこういうことだった。私たちはジョージア州からアラバマ州テキサス州からニューメキシコ州に入った時、それぞれ1時間ずつ得をした。いずれも時間を1時間進めるサマータイムを導入している州だ。

しかし、最後に立ち寄ったアリゾナ州サマータイムを導入していない。グランドサークルは州境に位置し、ユタ州に入ったりアリゾナ州に戻ったりしているうちに、いつの間にかアリゾナ州で1時間分戻っていたんだろう。

そのままネバダ州に入ったので、州境の時差分がサマータイムの時差で相殺されたのかも。と、書いていても何が何やら、うまく説明できている気が全くしない・・・。

まあ1時間の時差なんてどうってことないぐらい、余裕を見て旅をしろということですね、きっと。

 

 

無料アトラクションにも不況のあおり・・・

ホテル近くのニューメキシコ料理店でまずは乾杯。テラス席に座って、ネオンのビル群を眺めながらタコスを食べた。21時を過ぎても通りは人でいっぱい。本当にグランド・キャニオンの静寂が嘘のよう。

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ほんのり酔っ払って、「水曜どうでしょう」にも出てきた火山ショーを見に行く。ベガスでは「カジノでお金を使わず、無料のショーを見るのが賢い遊び方」(Byミスター)なのだ。

目抜き通りをてくてく歩いていくと、シーザーズ・パレスにザ・ベネチアン、お城のような巨大なホテルが次々現れる。グランド・キャニオン雄大さには負けるけど、人間もずいぶん大きな建造物を造れるものだ。

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目当てのミラージュ・ホテルは中心街のちょっと端っこの方にあった。本物の火を噴き上げる大迫力のアトラクション、さぞ人がいっぱいで・・・と思ったら、なんだかひっそりしている。

なんだ? まだないない尽くしの一日は終わっていないのか?!(地図に、車のキーに、ガソリンに・・・詳しくは昼編を参照)

どうやら本当にそうで、1時間おきにやっていた火山ショーは数年前から20時と21時の2回に縮小された模様。そういえば、どうでしょう班がベガスを訪れたのは1999年2月。アメリカ、ITバブルで景気よかったもんなあ。

トレジャー・アイランドの海賊ショーもなくなり、最近ベガスのショーはホテル内で行われる有料のショーがメインになっているよう。なんだかしんみり・・・。

 

唯一確実にやっているベラッジオの噴水ショーを見るため、元来た道をてくてく戻る。

が、酔いもあって私の眠気は限界。「カ、カフェインを」と入ったスターバックスで、カプチーノができあがるまでの間、ソファで熟睡してしまう始末。

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それでも何とかベラッジオの前にたどり着き(泊まってるホテルの目の前でよかった・・・)、23時45分、ショーが始まった。

5万平方メートルとも言われる広大な「湖」から数十本、数百本もの水柱が噴き上がり、フランクシナトラの歌に合わせて右へ左へくねくね揺れる。

まるで踊っているみたい。オレンジ色にライトアップされたベラッジオの威容を背景に、真っ暗な湖と光輝く水柱。

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すっかり魅了され、15分後のこの日最後のショーも見ていくことに。

最終回はアメリカ国歌。「Oh,say can you see, by the dawn's early light🎵」の調べに乗せて、豪華に噴水が舞い上がる。歌っているのはホイットニー・ヒューストンだろうか?

周りの観客からは歓声や指笛。曲が終わると、大きな拍手もわきおこり、「なんだかアメリカって底抜けに明るいなあ」と妙な感心の仕方をしたのだった。

 

 

カジノに初挑戦

さて、ショーにも満足し、疲れもMAX。でもカジノに行かずして、やっぱりベガスに来たことにはならないだろう。

ということで、2人でドキドキ、初めてのカジノへ出陣!

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日本のパチンコ屋に負けず劣らずの騒がしさの中、1枚いくらか見当もつかないコインがうず高く積まれたテーブルとテーブルの間を、初心者感まる出しで興味津々、きょろきょろ歩き回る。

ルーレットに球が転がっていく小気味いい音、ステージ上ではもう全部出せばいいじゃないというぐらいほとんど半裸のナイスバディが踊っている。うーん、映画で見た通りの光景!

だけどルールがわからずビビりの我々2人は「まずはスロットから・・・」とひより、5ドル、10ドルとちまちま賭けては5ドル勝ったり、10ドルすったり。

50ドルの当たりが出て大喜びし、ちょっと気分も慣れてきて、彼はウエイトレスからウイスキーをもらって飲んでいた。(ちなみにカジノ内のドリンクは無料!)

結局私たちはテーブルゲームに飛び込めなかったけど、カジノではお酒片手にテーブルの後ろから見ているだけでも面白い。私はやっぱり『賭博者』のアレクセイにはなれないんだなぁ。

 

カジノの非日常感にあてられたのか、なぜか猛烈にチョコレートが食べたくなって、お土産ものも売っているホテルの売店へ。

レジでは酔っ払った女の人が「あははは!」と笑いながら50セントや25セント硬貨をばらばら出して、なかなかお会計が終わらない。ついでに買ったアイスはすっかり柔らかくなって、ようやく私たちは部屋に戻ったのだった。

盛りだくさんの一日、倒れ込むように寝てしまった窓の外には、明かりを消したエッフェル塔が見えていた。

(のん)

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この日の走行距離=110マイル

総走行距離=3930マイル

 

 

★俺から一言★

昼間のグランド・キャニオンにも度肝を抜かれたが、暗い山道の先に突然光り輝くベガスの夜景には本当に驚いた。

NYの夜景も綺麗だったけれど、何もない荒野に広がるラスベガスの街の灯は圧倒的な美しさ。初めてベガスを車で訪れる場合は夜がオススメかも。ベガスは昼と夜では違う街です。

ぶらぶら散策しているだけでも楽しいベガスだけど、カジノもお金を使わずに十分楽しめる。ルーレットテーブルなんかを後ろから覗いているだけでも人間模様が観察できて面白い。

それにしてもカジノは怖ろしいというか、不思議なほどに人を惹き付ける。「一人10ドルだけ遊んで帰ろうぜ」と言っていたのに、いつしか熱くなる我々2人・・・。 

「もう5ドル」「もう10ドル」と夢中になってしまった。それでも、最終的な勝ち負けの収支はゼロ。やっぱりお金を減らさずに楽しめました。

(なお)

 

DAY10に続く。

DAY10 サンタモニカに夕陽が沈む - アメリカ横断2人旅

DAY9昼編 おいでよ、グランドキャニオン

 

ある女子中学生からの手紙

4月11日、7時半起床。またまた快晴。

前日から天気予報サイトとにらめっこしている彼によると、この日は午後までGrand Canyon(グランド・キャニオン)は晴れ、大隕石孔のあるWinslow(ウィンスロー)近くも晴れとのこと。

急いで準備し、モーテルのロビーでアイスボックスに氷をたっぷり補充し、荷物を車へ運ぶ。

と、駐車場に停めた我らがカローラの様子がおかしい・・・。後ろのボンネットに何か茶色いものがバラ撒かれている。まさかゴミ?

さすが安モーテル、「いたずらかよ」と思って近づいてみると・・・な、なんと!小石を並べて「CONGRATS U」(おめでとう)のメッセージが!!

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フロントガラスのワイパーにはA4の紙が挟まっている。

読むと、どうやらメッセージの主は地元の14歳のナバホの女の子のよう。従姉妹と近くを通りかかったとき、車内のフラワーアレンジメントと「just married」(新婚ホヤホヤ)のバルーンを見つけ、結婚を祝おうとメッセージを書いてくれたようだ。

私と彼の両方にあてて新生活の注意点(「あなたは彼のお金が目当てで結婚したのではありませんよね? ツライ時もいつも笑って過ごせる家庭を・・・etc.」)と、幸せになる秘訣が紙いっぱいにびっしり書かれていた。

なんて素敵なサプライズ! こんな小粋なことを中学生がサラリとできるのは、いかにもアメリカらしい。

メッセージの最後、「P.S. I love to smoke Marijuana」(マリファナ大好き)の一文には笑ってしまったけれど、私も彼もすっかり感動。

せめてものお礼に、私たちも小石で路上に「THANK U from JAPAN」とメッセージを残し、あたたかい気持ちで出発した。

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地図がない!

この日の最初の目的地は、110マイル(=約180キロ)先のGrand Canyon。言わずとしれた世界遺産の大峡谷だ。

アメリカ人にとっては一生に一度は行きたい観光名所、心の原風景らしく、日本人で言えば富士山みたいな感じだろうか?

写真やテレビで見たことはあるけど、「実際はどんな感じかなぁ」「晴れてるといいなぁ」と思いながら、Page(ペイジ)から南へ車を走らせる。

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ところが・・・しばらく走って気が付いた。なんか、道が変だ。

PageからGrand Canyonに行くには、国道89号線をひたすら南下すればいいはずだ。なのに、89号線を示す標識もないし、道幅もやけに狭い。

カーナビは自信満々で「しばらく道なりです」なんてことを言ってるけど、ナビの地図を縮小してみると、え?なんか東に進んでない?

「ここはどこなんだ!?」と、この旅で愛用してきた全米道路地図で確認しようとする助手席の彼。が・・・地図が、ない。

 

この地図はミシュラン製で、広げると半畳ぐらい大きく見やすいけれど、折り畳めばポケットサイズの優れもの。地図も持たずにドライブの旅を始めた無謀な私たちに、アトランタで姉がくれたものだ。

リビングの壁に広げて貼ってあったのを、「なんでー?持っていくんー?」と不満げな姪っ子に心の中で謝りながら持ち出したのに。旅の途中でなくすなんて!

助手席から後部座席に身を乗り出し、一生懸命探す彼。しかし、後部座席にもドアのポケットにもダッシュボードにも、ない。

不安が募る私たちをよそに、窓の外には乾いた平野に家々が点在するのどかな風景が広がって来た。どうやら今走っている道は「ナバホ・トレイル」というらしい。

なかなか魅力的な名前だけど、今は風景を楽しむ余裕もない。私たちはKaibito(カイビート)という町で、小さなガソリンスタンドに車を停めた。

 

 

キーもない!

実は、地図がなくなったことに私は薄々気づいていた。

昨晩の過酷なドライブの末、ようやくたどり着いたPageのスーパーで地図を見ようと思ったとき、すでに見当たらなかったのだ。ひょっとして彼と運転を交代した際に落としたのかも・・・そんな不安が頭をよぎっていた。

案の定、給油で立ち寄ったガソリンスタンドで座席の下をくまなく探してみても、地図は見つからない。

 

アトランタでもらって以来、助手席にいる間は走行中のルートを確かめたり、行く先に思いを馳せたり、宿に着いたらその日のドライブを振り返ったり・・・一日に何度も開いたミシュランの地図。

「地図なんてスマホで見ればいいやと思っていたけど、やっぱり手元にあるといいねぇ」「通過したルートは思い出に地図に書き込もうね」なんて話してたのに・・・。

幸いカーナビ上の地図を見ると、若干の遠回りながらGrand Canyonに向かっているようだ。ええい、くよくよしても仕方ない、給油を終え「気を取り直して出発!」と思ったら・・・。

今度は車のキーが、ない。

ズボンのポケットにも、上着のポケットにも、座席の隙間にも、車の下にもない! ないないない!!!

「ひょっとしてゴミを捨てる時、うっかり一緒に捨てた!?」とゴミ箱を覗いてみるけど見当たらない。ガソリンスタンドには次々と車がやってきて、給油機の横に車を停めっぱなしの私たちを不審そうにじろじろと見る。

 

ああ、もうダメだ・・・ここでJAF的なロードサービスを呼んで、でも来るのに何時間もかかってGrand Canyonにも行けなくなって、大隕石孔なんて100%無理で、そもそも今晩ラスベガスのホテルに着けるかどうか、いやその前にゴミ箱をひっくり返して漁ってみるべきか・・・。

 

と、なかば諦めモードに入りかけたところで、後部座席に丸めて置いた上着を持ち上げてみたら、コロリと何かが転がった。

「あっ!」

 

・・・・・・ハイ、車のキーでした。

なんでそんなところにあったのか全くわからないけれど、地図のことに気を取られて無意識で置いたんだろう。

「まぁ、俺は何とかなると思っていたけどね」との彼の言葉が本心だったのか強がりだったのかはさておき、ホッと胸をなでおろした私たち。

スタンドに併設してあるコンビニでお手製フライドチキンを1個買い(2ドル)、仲良く分け合って食べたのだった。

(ちなみに私が「カナブの悪魔」の話を聞いたのはこの時でした)

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大地の裂け目をのぞく

時間のロスはあったものの、Cameron(キャメロン)の街で州道64号線へ。

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山道をうねうね登って10時半にはGrand Canyonの東側入り口「イースト・エントランス」に到着。

昨日買った年間パスをさっそく提示し、国立公園内に入る。

Grand Canyonはコロラド川を挟んでノ―スリム(北側)とサウスリム(南側)に分かれ、「これぞGrand Canyon!」な絶景を楽しめるのはサウスリム。

このため、ノ―スリムは比較的訪れる人も少なめで静かに過ごせるらしいけど、初めての私たちはメジャーなサウスリムの方を選んだ。

(※ノ―スリムはサウスリムと全然アクセスが違うので注意!)

 

公園内には絶景を眺められるビューポイントが点在し、車やシャトルバスで巡るのが基本スタイル。私たちはまず東端のDesert View Pointに向かって車を走らせた。樹々の間に崖のようなものが見え隠れし、おのずと期待も高まる。

そして車を停め、展望台に駆けていくと・・・。

 

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・・・・・・もう、言葉が出なかった。

そこは大地の裂け目。吸い込まれそうな深い谷。はるか遠い眼下に青いコロラド川

景色を見て「透明」と表現するのはおかしいかもしれない。でも、そう言いたくなるほど目の前の大空間には何もなく、何万年、何億年もの浸食のあとが折り重なった地層は、指先で触れられそうなほど近くにも、音さえ届かないほど彼方にも感じる。

予想なんてものをはるかに上回る壮大さ。

圧倒されて、私も彼も口をぽかんと開けていた。

 

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あまりに感動したときに「心が震える」というのは本当だ。先住民族の見張り塔を模したウォッチタワーに登って峡谷を見下ろし、私は指先や耳たぶがぞわぞわ震え、全身の産毛が逆立つような興奮を覚えていた。

水曜どうでしょう」でミスターが、Grand Canyonの絶景に息を飲み、「見ないとだめだよ、おいで」と言っていた。その通りだと私も思った。

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ただ、さすがにGrand Canyonは広い。全長440キロ(!!)の敷地に、サウスリムだけでも十数か所のビューポイントがあり、そのうえポイント間は車で10分、いや20分かかることもある。

夜にラスベガスを目指す私たちの旅程では、とても回りきることはできない。ガイドマップやネット情報を頼りに、断腸の思いで訪れるポイントを残り3つに絞る。

最も標高の高いGrand View Point(約2250メートル)から、Yaki Point(無料シャトルに乗らないと崖の突端まで行けないのでメインの通り沿いに見るだけ)、ビジターセンターやお土産屋さんの近くにあるMather Point(マザーじゃなくてマーサだそうです。ずっと間違えてた・・・)へ。

 

それぞれのポイントには柵を設けた展望台もあるけれど、日本では考えられないことに岩場のぎりぎりまで自力で歩いても行ける。巨岩の突端に恐る恐る立ってみたり、足を投げ出して座ってみたり。

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ぼーっと景色を眺めているだけで心地よく、時間がないのはわかっていても去りがたし。大きなザックを背負い、トレッキングコースに歩いていく人たちがうらやましい。

「絶対また来よう!」「今度はサウスからノースへキャンプしながら歩こう!」と話し、13時20分、後ろ髪引かれる思いでGrand Canyonをあとにした。途中で出会った大きな鹿さんたちにも別れを告げて・・・。

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ガソリンもない!

さあ、次の目的地は110マイル(=約180キロ)先の大隕石孔、通称「メテオ・クレーター」だ。

山を下りると、再び目の前に大平原が広がる。頂に白雪をかぶった「ハンフリーズ・ピーク」を左手に眺めながら、久しぶりに州間高速道路I-40を東へ飛ばす。

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この旅のドライブのルールのひとつとして、私たちはここまで「ガソリン残量が4分の1を切る前に必ず給油する」と決めてきた。I-40を走っていると、ちょうどその4分の1がやってきた。

スタンドのありそうな大きな街がすぐ先にある。なのに、「まぁ、高速道路だからさ、この先も出口付近に絶対あるでしょ」と彼。急いでいたせいか、高速を下りて街の中を探したくないんだろう。

確かにこの旅で高速を走っていてスタンドに困ったことなどない。「そうだね、この先、インター沿いのスタンドで入れればいいか」 深く考えず、大きな街を通り過ぎていった。

しかし、行けども行けども、どの出口にもスタンドの看板が出てこない! 思えば今日はないない尽くし・・・まさか、ガス欠!?

気持ちは焦るも、車を先に走らせるより他にない。限りなくゼロに近づくガソリンの目盛り・・・いよいよダメか? と思ったところで、大隕石孔最寄りの出口にスタンドを示すマークが一つだけある!! ホッ・・・。

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巨大な穴

ガソリンも満タン、安心して大隕石孔への一本道を走る。

水曜どうでしょう」でも紹介されていた通り、大隕石孔は遠くからでも地面が山のように盛り上がっているのがわかる。

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1人18ドルの入場料を払い、メテオクレーター記念館(?)的な館内の階段をのぼっていく。この大隕石孔はなんと個人が27年かけて発掘したもので、現在も国有ではなく私有というから驚きだ。

そのためか、入場券に館内で使えるクーポンがついていたり、お土産コーナーが充実していたり、隕石について紹介する映像シアターがあったり、とても商売っ気を感じるのだが、時間がない私たちはスルーしてクレーターに直行。

 クレーターは・・・非常に大きな穴だった。

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5万年前に地球に落ちてきた隕石が地面をえぐりとった巨大な穴。ただそれだけで何もないのだけど、何もないからこそシンプルに迫力がある。カメラをどうやって構えてみても、アングルに収まりきらない。

iPhoneのパノラマカメラで何とか撮影。

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穴の直径は1.2キロ、深さは168メートル。底の部分はサッカー場が20面も取れるほど広い。昔、アポロの宇宙飛行士が月面探査の訓練をここで行ったことを示すため、宇宙飛行士の等身大パネルが置かれていたが、豆粒ほどに小さく見えた。

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お店も開いてない・・・

駆け足で30分程度だったけど、大隕石孔には大満足。

続いて目指すのは、私がずっと行きたかったハーレー・ダビッドソンのお店だ。

アメリカンバイクと言えばハーレー。ルート66と言えばハーレー。

そんなお店が、まさにルート66上にあると聞けば、行くしかないでしょう!

キャプテン・アメリカ』のごとくフルメッキのチョッパーをガンガン吹かして・・・私自身はハーレーに乗るわけではないのだけど、100台以上のハーレーが店内にずらり並んでいるなんて、ぜひとも見たいではないか。

(※なんのことかわからない人はアメリカンニューシネマの名作『イージー・ライダー』をどうぞ!ピーター・フォンダデニス・ホッパー!!)

でっかい矢のオブジェが2本も地面に突き刺さっている「Twin Arrows」を通り過ぎ、I-40を西へ戻る。

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大隕石孔からは55マイル(=約90キロ)。「すぐ近くだ」と思っちゃうあたり、距離感覚がかなりアメリカナイズされてきた。

お店はI-40沿いにあるらしい。Bellemont(ベルモント)という町でインターを下りて、ワクワクしながら近づいたものの・・・なぜか、ひとけがない。

まだ16時。閉店には早すぎる。まさか・・・。

車を停めて入口に駆け寄るも、そこには無情にも「Closed」の看板。なんと定休日だった。がっくり。

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しかし、いつまでも落ち込んではいられない。ルート66と重なるI-40を走るこの日はもう一軒、彼にも行きたいお店があった。

ルート66は州間高速道路の発達で1980年代にはいったん消滅してしまったらしい。それをルート沿いに住む町の兄弟が、歴史的な道「ヒストリック・ルート」として復興させたのだ。その息子がやっている「デルガディーロの店」が、この先にあるという。

実は大隕石孔近くのガソリンスタンドにも、ルート66のグッズは結構あった。けれど、「どうせ買うなら本場で!」と言っていた彼。夕暮れも迫る中、なんとか閉店前に着きたい。

I-40を離れ、ルート66の旧道を行く。(高速道路と重ならない部分もあるのです)

小さな町Seligman(セリグマン)に着いたのは17時過ぎ。「さあ間に合うか、お店はどこだ!」と急いで探す。

ごてごてした装飾に、オールドカーの展示。ここに違いない!

 しかーし、残念ながら、間に合わず・・・。

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どうやら私たちが着く直前に閉まったようで、店員さんに「We are closed, ソーリー」と言われてしまった。

遠方からの観光客だとて、ここでちょっとだけ開けてあげようかな、などというおもてなし精神はアメリカ人にはない。今度は彼ががっかりする番だった。

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ないない尽くしの一日が暮れ

旅も後半に入ったせいか、なんだか今日はハプニング続き。

あとは180マイル(=約290キロ)先のラスベガスを目指し、ひた走るのみ。

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Kingmanキングマン)の町でI-40を下り、国道93号線を北上する。

国道とは言え、州間高速道路と比べても遜色ない広さで、走りやすい道をすいすい行く。昨日のザイオンからの帰り道が嘘のように、西の空が赤く染まっていく。夕暮れのアリゾナ州だ。

ベガスがあるのはネバダ州。遅くならないうちに着きたいけど、州境でタイムゾーンを越える。「また1時間時刻が戻れば、20時にはベガスで散策かな・・・」。だが、ここで思いもよらない “時差の謎” に私たちはぶつかることになる。

もはやそれはタイムゾーン地獄と言ってもいいほどややこしい。なんでこんな面倒くさい制度を取るのか、アメリカは。広すぎるんだー!!!!

が、盛り沢山な一日のせいでずいぶんブログが長くなってしまったので、今日はこの辺で続きは夜編へ・・・。

(のん)

 

 

この日の走行距離=470マイル

総走行距離=3820マイル

 

 

★俺から一言★

朝のお祝いメッセージ事件には本当に驚いた。はじめは、遠く日本からの新婚旅行だからお祝いしてくれたのかな?とも考えたぐらい。女子中学生もまさか我々が日本人だとは思わなかっただろう。

アトランタで義姉夫婦からのお祝いにもビックリだったけれど、新婚旅行で2回目のサプライズ。

ちなみに、義姉夫婦からもらったバルーンと花飾りは、常に後部座席の見える位置にセット。なので、ちょっとした給油や食事で駐車場に停めたりすると、「あら、ハネムーン?おめでとう!」なんて言われることもしばしば。

ホテル、レストラン、そしてドライブ中でも、「新婚」アピールのおかげでみんなが優しくしてくれた。新婚旅行で米国横断される方、バルーンと花は必須アイテム!!かも。

 

しかし、お気に入りの地図をなくしたのは悲しかった。あまりの落胆に2人で、「きっとカナブの悪魔からの身代わりになってくれたんだよ」と慰め合ったほど。見やすい地図も必須です。

 

そしてそして、グランド・キャニオン。これはもうミスターの言うとおり、「見ないとわからない」大迫力。

時間があれば、ぼーっとコーヒーでも飲みながら半日ぐらい黙って景色を見ていたいほど。実際、哲学者のように座り込んでいる人もいた。うらやましい。こちらも米国横断の旅では必ず訪れるべき場所です!

(なお)

 

DAY9夜編に続く。 

DAY9夜編 光の海ラスベガス - アメリカ横断2人旅

DAY8 グランドサークルとカナブの悪魔

 

夜明けの空

4月10日、4時起床。快晴。

旅も8日目。すっかり日常を忘れ、旅に没頭していた私たち。さすがに残り日数の短さを感じるようになってきたけれど、まだまだドライブは続く。きょうもどんなワクワクが待っているのか、夜が明けきらないうちに目覚める。

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to go, or not to go

早く起きたのには理由があった。午前9時までに200マイル(=約320キロ)先にある「抽選場所」に行く計画があったからだ。

抽選というのは、全米一の絶景とも称される「The Wave」の入場許可証。

The Waveは、風雨による浸食で、まるで「波」のような奇岩がうねるエリア。その奇跡的な美しさゆえ、自然保護区内にあって入場がきびしく制限されている。通りすがりの旅人が訪れるには、ハードルが高い場所なのだ。

ちなみに国立公園のホームページによるとこんな場所を歩けるらしい。

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直前の抽選で選ばれるのは一日10人だけ。9時に行われる抽選に勝ち抜いた者だけが、翌日に入場できる権利を手にすることができる。その倍率はときに数十倍にも達するという。

無謀にもThe Waveに挑もうとしていた私たちだが、いくつかの問題が浮上した。

 

  • 抽選に行くには午前4時には起き、3時間以上の運転が必要
  • 当たった場合、再訪するため近場に宿泊しなければならない
  • 悪天候の場合、散策には困難を伴う

 

これだけのリスクを冒すべきか、頭を悩ませていた。ただ、The wave周辺が雨になりそうだとの予報もあった。「今回はやめて、部屋からゆっくり朝焼けを楽しもう」という方向で昨夜は一旦落ち着いた。

それでも、「行けるものなら行ってみたい・・・」と胸に秘めていた私。彼女には告げずに目覚まし時計をこっそりセットし、念のため早起きしたのだった。

結論から言えば、やはり無謀な挑戦だった。

あまりの眠さに勝てなかったのだ。目覚ましを止め、迷わず二度寝。The waveは次回の楽しみにとっておこう。

 

 

朝焼けに照らされて

改めて6時に起き、朝焼けを待つ。地平線からゆっくりと陽が昇る。

日本から持参したコーヒー豆を、これまた持参したミルで挽いてコーヒーを淹れる。バルコニーに座り、ゆっくりと朝焼けを堪能。

夕焼けも見事だったが、朝日の輝きは荘厳の一言。地球のエネルギーを感じるひとときだった。

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フォレスト!!

9時前にホテルを出発。昨日、時間がなくて諦めたフォレストの撮影ポイントを再び探しに行く。
真っ直ぐな道をしばらく走ると、坂道のはるか遠く、車を停めている人の姿が見えた。道の真ん中に立ち、こちらを見下ろしながら写真を撮っているようにも見える。

「もしかして、フォレストポイントかも!」と彼女。

ようやく発見!!

「旅のしおり」の写真と見比べたが間違いなさそうだ。雄大な景色をたくさん見てきたが、この景色にはやっぱり圧倒される。

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長い長い直線の道路のため、近づいて来る車が見えても、実際にやって来るまで数分はかかる。道の真ん中に座り込んだり、大の字に寝てみたりしながら思い思いに記念写真を撮る。

キャンピングカーから老夫婦が下りてきた。ドイツから長期旅行中だと言う。おじいちゃんは元エンジニア。昔々、仕事で愛知に仕事に行ったことがあるようで、私たちの車を見て、「トヨタはナイスだよ!」と笑顔。

記念に2人の写真を撮ってあげることに。カメラを構えながら、「アイン、ツヴァイ、ドラーイ!」とシャッターを切った。

唯一知ってるドイツ語、何事も勉強しておいて損はない。

 

 

アンテロープ

先を急ぐ。

当初の目的地はグランドキャニオン。しかし、午後の降水確率は60%。予定を変更し、まずは120マイル(=約190キロ)先のアリゾナ州アンテロープキャニオンを目指すことにした。

アンテロープキャニオンも浸食が生み出した絶景の渓谷だ。ロウアーとアッパーの2カ所あり、有名なのはアッパー。でも、私たちは事前の情報収集から「より歩き回れて広い」とされるロウアーを選んだ。

現地で11時半のツアーを予約。正午前後の太陽の光が差し込む時間帯が美しいと聞いていたので、ほっと一安心。受付場所からツアーメンバー15人ほどでぞろぞろと歩く。

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地下に向かう急な階段をゆっくり下りると、まるで別世界! なぜこんなにも美しい紋様が描かれるのか、自然の造形美に驚く。

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幸い天気もよい。コロラドから来た3人家族の小さな男の子が、行儀良く砂遊びを始めたのが可愛くてほほえましい。

一方、中国人の団体客はガイドの注意をあまり聞かず、あちこちで写真撮影。ツアーがなかなか先に進まない。ガイドも少し困り顔。私たちも正直、「うーむ」と思っていた。

 

ところが、一度彼らに写真を頼んでみたところ、どのアングルならいい写真が撮れそうかと、お互いに相談をはじめた。「せっかくのアメリカ旅行、思い出に残るように」と、何枚も写真を撮ってくれる。周りの中国人も、「そっちから撮った方がきれいだ!」みたいなことを言い合っている様子。

そんな中国人団体客の姿を見ていたら、「悪い人っていないよなぁ」としみじみ実感。同行者に恵まれた1時間15分の楽しいツアーだった。

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ちなみに、 階段を上ってキャニオンから出るときは、下の写真のように渓谷の割れ目から出てくる。何だか挟まりそう。

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次はどこへ

次なる目的地をめぐり再び作戦会議。グランドキャニオンで夕焼けを見ることを検討したが、天候の回復が見込めない。

初めてのキャニオン。できることならいい天気の日に訪れたい。悩んだ末、キャニオンは明日の天気に期待することにして延期。

さてさて、それならどこへ行こう。あれこれ調べていると、「ザイオン国立公園に行きたい!」と彼女が突然の提案。

ユタ、アリゾナ州を中心に、ここら一帯は「グランドサークル」とも呼ばれ、多くの国立公園が集まるアメリカ屈指の観光エリア。グランドキャニオンもその一つ。

一帯と言っても、端から端までは300マイル弱もあるらしい。アメリカは実に広大だ。

私たちのような横断の旅だと、見どころが多くて迷うのもグランドサークルの特徴。

そんなわけで、彼女のリクエスト通り、110マイル(=約180キロ)先のユタ州ザイオン国立公園をめざす。

 

 

待望の国立公園めぐり

彼女の運転で、観光拠点の街の一つ、アリゾナ州ペイジを出発。下道を走り、今度はユタ州側の観光拠点カナブを通過。雲行きが怪しくなり始め、雨がぱらつく。

ようやくザイオン到着。初のアメリカ国立公園だ。受付ゲートで年間パスを購入! 園内は広大で、走れども走れどもビジターセンターにすら着かない。

道路の両側には奇岩、巨岩が続き、背後には緑の山並み。何という景色だろう。とにかくスケールが大きい。

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不安なバス旅

ようやくビジターセンターに到着。時刻は16時半。

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園内の大半は車乗り入れ不可なので、循環バスへの乗り換えが必要。ザイオンにやって来た気分だけでも味わいたいが、どこを散策すればいいのか見当さえつかない。

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本格的な山歩きの格好の人や、キャンプ道具を携えている家族の姿も。「一体、このバス、どこまで行くのかな。戻って来られなかったらどうする?」とびびりながらも、意を決して乗車。

ハイキングポイントらしき場所で下り、往復30分ほどの散歩。短時間だったけれど、自分の足でザイオンを歩くのは気持ちがいい。

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ロッジが並んでいたり、整備が行き届いたテントスペースがあったり。多くの家族連れが夕暮れ前の時間をのんびりと過ごしている。荷物を見たところ、1泊や2泊のキャンプではなく、1週間ぐらいの滞在に見える。

アメリカ人のこうした自然の楽しみ方、時間の使い方は本当にうらやましい。

日本人ものんびりと余暇を過ごせるようにしないといけないなと思った。慌ただしい横断の旅をしている私たち、自戒を込めて。

最後は青空が広がり、きれいな夕日が差してきた。青空と澄み切った空気に山肌が浮かび上がる。あまりの透明感、山が近くなのか遠くなのか、距離感がわからなくなる。

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なんだかんだんで2時間以上もザイオンを満喫。文章や写真ではどうしてもスケールの大きさが伝わらないので、ザイオンからの帰り道の風景を動画にアップしてみました。 

ザイオン国立公園(zion national park) - YouTube

 

 

そして、あの夜がやってくる

時刻はもう19時。帰路につきたい時間だが、今夜の宿も決まっていない。

明日のグランドキャニオンに備え、少しでも近づいておきたいところだ。午前中に通過したペイジまでは100マイル(=約160キロ)。さらに先の街まで200マイル弱。

夜の山道を戻るので、どこまで走れるか様子を見ながら、車中で今夜の宿を決めることにした。

 

 

突如現れた虹

突然ですが、半円の虹を見たことがありますか?

日没が迫り、再び雨が降ってきたかと思ったら、急に黄金色のまぶしい夕日が差し込んできた。

そんな幻想的な空に、不意に半円状の虹が出現。しかも、二重のアーチを描きながら。 

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生まれて初めて見た半円の虹。地平線が広がるアメリカならでは。きれいだった。

車から降りてしばし見とれていたが、雨が強くなる。雨の夜道を走るのは初日のドライブでこりごり。急いで出発しなくては!

 

 

カナブの悪魔

いまから考えると、あの美しい虹は何かの予兆だったのかもしれない。

遠くに夕日の残照を残しつつ、空一面に黒い雲が垂れ込め始めた。不気味なほどに美しい、いままで見たこともない不思議な黄昏れどき。まさに逢魔が刻だった。

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暗くなりかける道を急ぐ。雨のせいで時折すれ違う対向車のライトがまぶしく、運転しにくい状況が続く。

「宿が見つからなかったら、夜遅くまで運転することになるかもね」。彼女にそう話しかけ、万が一の長距離運転に備えて仮眠をとってもらうことにした。

心配そうな顔をしながら、助手席のシートを倒す彼女。オーディオの音量を小さくし、彼女が眠ったのを見届けてから、「あと100マイル頑張るぞ!」と自分に言い聞かせる。

 

山道を15分ほど走ったころだろうか。

 

左手に山、右手に牧場を見ながらアクセルを踏んでいた。不意に、牧場の柵の向こう側、大きな木の陰に黒い塊が見えた。「見えた」というより「視界に入った」という表現の方が正確かもしれない。

「ん?牛かな」と思った瞬間、車と同じスピードで追いついてきた。ほんの数秒だけ

 

牧場を過ぎた途端、急に悪寒がした。

 

なぜだかわからないけれど、「見てはいけないものを見た」と直感した。はっきり見えなかったくせに、「これはまずいものを見てしまった」という実感だけがあった。

よくよく思い返すと、牛の大きさなんかではなかった。3~4メートルほどの高さはあっただろうか。異様に大きな黒い影。

 

さらに不思議だったのは、「あれは悪魔か死神だろう」という考えが瞬時に頭に浮かんできたことだった。

ぞっとした。両腕に鳥肌が立った。バックミラーを見るのも怖かった。

 

ただ、このとき、何が怖かったかといえば、お化けでも幽霊でもなく、「この山道で事故を起こすのではないか」という不安だった。

真っ暗な雨の山道。疲れもあった。そこにきて、あの不吉なものを見たせいか急に事故の恐怖を感じたのだ。

スピードを思いきり落とした。音楽のボリュームも再び大きくした。真っ暗な夜道、両手でハンドルを強く握り、いつもより目を見開いて運転を続けた。

正直怖かった。彼女を起こそうかなとも考えたけれど、怖がらせるだけだろうなと思い寝かせたままにした。

 

20分ほど山道を走ると、遠くに人家の明かりが見えてきた。カナブの街だ。ようやく一息ついた。

それにしてもあの黒い影はなんだったのだろう。いままで幽霊なんて見たこともないのに。実に不思議な体験だった。

 

 

土砂降りの夜

ザイオンからカナブまでわずか40分。なぜかぐったり疲れていた。

夜の運転は彼女にさせないよう旅を続けてきたけれど、どうにも疲労で運転できそうにない。ガソリンスタンドで車を停め、彼女を起こし、運転を交代してもらうことに決めた。

さっきの「黒い影」のことを打ち明けずにいられなかったけれど、「絶対怖がるだろうなぁ・・・」と思い、しばらく黙っておくことにした。

彼女にはゆっくり走ってもらいつつ、私は助手席で宿を探すことに。ところが、圏外でネットがつながらない。やむなく、80マイル(=約130キロ)先のペイジの街へ向かうことにした。

 

 

安モーテルで酒盛り

ペイジに着いたのは21時過ぎ。今夜はもう走るのをやめ、スーパーの駐車場で宿を探す。

観光拠点だけあり、モーテルも軒並み100ドル以上。それでも、コインランドリー付きのお得な宿、「モーテル6」を見つけて予約。宿が決まった安心感からか、改めて疲れがどっと出た。

気力を振り絞り、スーパーで夕食の買い出しをしてモーテルへ。ベッドへ倒れ込む。

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部屋は質素だけどキレイなつくり。お互い疲れ果ててはいたが、サンドイッチとサラダとスープを並べて食事。

なんだか飲まずにはいられない夜だったので(いつも飲んでいるけれど)、お土産用にアトランタで買ったビールまで開け、ワイワイと楽しく食事。

実に長い、そしてとても不思議な一日だった。

おかげで、文章まで長くなってしまった・・・。

(なお)

 

 

この日の走行距離=330マイル

総走行距離=3350マイル

 

 

★私から一言★

Zion National Park=ザイオン国立公園を選んだのは、名前の響きに映画『マトリックス』を思い出したから。ちなみに、ザイオンヘブライ語ではシオンと発音し、「聖なる丘」を意味するそうです。英語だと「天国」「約束の地」。

マトリックス』には他に、モニュメントバレーの巨岩の一つ「センチネル」の名前も登場していて(「歩哨」という意味)、ハリウッドの映画人たちはこういうところから名前を取っているんだなぁと変に感心してしまいました。

もう一つ決め手になったのは、地球の歩き方に「谷底&崖の上の両方をドライブできるのが魅力」と紹介されていたことで、車の旅ならではのスポットかもと思ったのが結果的に大正解。

巨大な岩肌が目の前に迫り、日本ではちょっとお目にかかれない迫力の光景に大興奮でした。谷底にあたるエリアにビジターセンターやロッジがあり、ここは小さな子供連れもたくさん。日本の上高地みたいで、アメリカ国内で「Grand Canyonに次ぐ人気スポット」と言われるのも納得です。

 

ただ、帰り道は・・・。山を下りる頃に雨が降り出し、向かう先は雨雲で真っ暗なのに、日の沈む後ろ側は夕陽が赤々と照っている。美しいけれど、なんだかぞっとする一本道を対向車のないまま走り・・・途中で私は仮眠しましたが、ふもとの町に着くまで異様に長く感じたことを覚えています。

これまたなぜか異様に疲れている彼と運転を交代し(訳は翌日になって聞きました)、Pageの街を目指したのですが、雨は一向にやまないし、濡れた夜道は対向車が来るとヘッドライトが乱反射します。これが目に痛く、すごく疲れる。

ラジオも圏外で車内に響くのはエンジンと雨の音、もうかなり聞きなれてしまったiPodの音楽だけ。人家はほとんどなく、数十キロにわたって暗闇の道。

「事故を起こすとしたら今夜だ」と半ば朦朧とした意識の中で思いました。

やっとPageの街の光が見えてきた時、どれほどホッとしたことか。夜道の運転は長旅ではなおさら危険。重々お気を付けください。

(のん)

 

DAY9に続く。

DAY9昼編 おいでよ、グランドキャニオン - アメリカ横断2人旅

DAY7 憧れのモニュメントバレー

 

西部劇の舞台へ

4月9日、7時半起床。薄曇り。

ホテルの可愛らしいレストランで朝食ビッフェ。メニューも豊富なので、タコスやワッフルを焼き、きょうも「ランチ用に」とナプキンに包んでこっそり持ち出す。だんだん日課になってきた。

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アメリカの薄味コーヒーに食傷気味だったので、スタバのコーヒーがおいしく感じる。こちらもドライブ用に2杯持ち出す。

この日の目標は、先住民ナバホ族居留地でもあるユタ州のモニュメントバレー。400マイル(=約640キロ)ほどしかないが、途中から下道を走るので余裕を持って出発したいところ。

加えて、バレー内の車乗り入れ可能なドライブコースは夕方までらしいので、なおさら早めに到着したい。

「さぁ、急ぐぞ!」と車を走らせたものの、数百メートルも走らないうちにサンタフェの街なかに「TRADER JOE’S」を発見。「これは行くしかないでしょ」と2人の意見が一致。急いでいるというのに・・・。

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彼女はショッピングバッグやらナッツを、私は地ビールやら地元ウイスキーを買い込む。

朝のドライブの定番曲、ヨハン・シュトラウス2世の「美しく青きドナウ」をかけながら、彼女の運転でスタート。なんだかんだで、気づけばもう9時を過ぎてしまった。

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またケンカ・・・!?

州間高速道路I-25を走り、ニューメキシコ州最大の都市アルバカーキをかすめ、州道に下りてから北西へ向かう。見渡す限り荒涼とした岩石地帯。ところどころ大きな岩山が現れる。

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帆船のマストのような巨岩が遠くに見える。「写真を撮れるような場所に車を・・・」という私のリクエストにもかかわらず、いつしか岩は後方に過ぎ去る。ちょっと不満な私と、私の不満に不満そうな彼女。

おぉ、またしても運転をめぐってケンカか・・・いやいや、2人きりのドライブももう6日目。簡単にケンカはしません。目的地へ急ぐ!

 

 

荒野を走る

岩山の数が増え、大地の色がだんだんと赤色を帯び始めた。アリゾナ州に突入。

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丘が現れるたびにアップダウンを繰り返しつつ、直線道路をひたすら飛ばす。急いでいるので何台もの車を追い抜く。

ところで、アメリカの道路でも当然、警察がスピード違反を取り締まっている。むしろ日本より多く見かけるぐらい。砂漠地帯の路肩にじっと車を停めて獲物を待ち構えているのだ。

下の写真のように、捕まっている様子もよく見かける。

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車の流れに乗らず、猛スピードで走り去る車なんかは捕まる例が多そう。我々も地平線の遥かかなたに黒い影が見えたときは、「もしや、パトカーでは!?」と細心の注意で運転した。飛ばさず、安全運転が一番なのは当然なんですが。

  

 

アメリカの景色はつまらない?

地平線を追いかけながらのドライブが続く。

アメリカに行く前、ネットの書き込みを読んでいると、「アメリカは同じような景色ばかりで運転がつまらない」なんて書き込みもあったけれど、いやいや、これが全然飽きないのだ。

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眠くなることはときどきあるけれど、雄大な景色に見とれっぱなし。もちろん、初めての横断ドライブだから飽きないということもあるんだろうけど、何もない景色こそアメリカ横断の見どころなのかもしれない。

 

 

フォレストはどこ?

遠くに巨岩が見えはじめ、モニュメントバレーが近づきつつあることがわかる。急ぎながらも、私たちが探していたのが映画「フォレスト・ガンプ」でフォレストが走るのをやめた場所。

手作りした「旅のしおり」の写真を参考に、地平線に見える岩山を見比べて撮影ポイントを探す。でも、どの道路も真っ直ぐで赤い岩山ばかり、何だかそれっぽく見えてくる。

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しかし、よーく見ると映画の岩山とは微妙に形が違うような気も。とりあえず写真は撮ったけど、時間がないので先を急ぐ。

 

 

モニュメントバレー到着

ユタ州突入。ついにモニュメントバレーにやってきた。

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バレーは気の遠くなるほどの時間をかけながら風や雨で浸食された奇岩が点在する、いかにも「アメリカの荒野」。数々の西部劇でおなじみの場所なのだ。

モニュメントバレーの観光センターに到着したのは16時ごろ。園内ドライブは何とか間に合いそう。「夕焼けを楽しむツアーがあるはず」と彼女が言うので、センター内をうろうろ探すがわからない。

困っていると、駐車場の端っこにツアー募集の小屋があった。腕っ節の強そうなお父さんが立っている。どうやらナバホ族のようだ。ツアーのことを聞いてみると、「夕焼けを見るなら、ジープより乗馬がいい」と力説する。

馬が大好きな彼女の目が輝く。料金は2時間で1人90ドル。ジープの夕焼けツアーは1時間で1人35ドル。うーむ、これは悩ましい。

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2人で協議を重ねた結果、「こんな機会はなかなかない。乗ろう!」。エンパイア・ステートビルのときといい、毎度こうした結論になるのは自明。財布のヒモが緩くなるのも新婚旅行ならではなのだ。

お父さんに乗馬ツアーに決めたと告げると、「君たちはラッキーだ。We have good horses!」と力強く握手してきた。

 

 

カローラで疾走

乗馬ツアー開始は18時。それまで1時間半ほどあるので、前金の15ドルだけ渡して後で待ち合わせをすることに。

早速、愛車カローラでバレー内をドライブする。岩山を間近に見ながら、未舗装の道を走る。道路はでこぼこ。雨が降るとぬかるむので「4WD以外は注意」との説明があったが、幸い晴れているので私たちでも余裕で走れる。

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バスでやって来た観光客は、大型車に乗り合わせるツアーで回っている様子。こんなときレンタカーで来ると、時間を気にせず走り回れる自由さを実感する。夕暮れが迫ると、ツアー客の大半が帰りじたくを始め、バレー内はほぼ貸し切り状態になった。

いくつもの巨岩を間近に見上げては、「すごいねぇ」の連発。アメリカに来ると本当に「すごいね」「きれいだね」以外の言葉が出なくなるのです。

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ジョン・フォードが愛した西部劇でおなじみの撮影ポイントも堪能。車を走らせては気になった場所に駐車、散策を繰り返してドライブを楽しむ。

 

未舗装の狭い道なので、運転には注意が必要。ついつい心配になって、「あ、そこ危ないよ」とか「そっち通った方がいいよ」と彼女の運転に口をはさんだせいか、いつしか彼女が一言も発しなくなった。

思えば、昼間にも岩山の撮影をめぐってあれこれ注文をつけたことも積み重なっていたのだろう。突然、彼女が悲しそうな顔に。目に涙をためているではないか!

おぉ、テキサス以来2度目のケンカ。しかも、原因はまた車の運転!!

圧倒的な壮大さで迫ってくるモニュメントバレーの巨岩の真下で彼女に平謝り。ケンカは本当にいけません。

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案の定、こんなときもテキサス出身の “彼女” は律義に無言を貫いていたのだった。

 

 

ナバホの地

ドライブを終え、乗馬ツアーの待ち合わせ場所へ向かう。ところが小屋はすでに閉まっていて無人。思えば電話番号を聞くのも忘れていた。ここで待っていて大丈夫なのだろうか。

「もしかして騙されたか!?」(15ドルしか払ってないけど・・・)と疑心暗鬼になっていたら、ナバホの人が現れて「先行するピックアップトラックに着いていけ」との指示。

てっきり、いまドライブしたばかりのバレー内で乗馬するのかと思っていたら、どうやら遠くまで行くようだ。

車を走らせ10分過ぎ、15分過ぎてもまだ到着する様子はない。「一体どこまで行くんだろうか」と不安になってきた私たち。

心細く荒野を走り続けていると、ピックアップが突然脇道にそれ、フェンスで閉ざされたゲート前に停車した。

一般人立ち入り禁止のナバホ族居留地なのだろうか。ゲートを抜け、さらに走るが目的地に着く気配はない。それどころか馬の姿さえ見えない。

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「ひとけのないところへ連れて行かれ、身ぐるみはがされるパターンか・・・」と身構えていたら、やっと家らしき建物と馬が見えた!

先行していたピックアップから柔和な笑顔のナバホ青年が降りてきた。手早く馬の準備を始めてくれる。

柵で囲われた中でのんびり草をはむ馬が5頭ほど。建物の周りには大きな黒いシェパードが歩き回り、人懐こく顔をこすりつけてくる。子犬たちも元気に駆け回り、なんだかとても牧歌的。

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ナバホ青年の名前はジェイク。手際よく馬具を着ける姿は頼もしく、てっきり年上だと思っていたが、生い立ちなどを聞くとまだ20代だった。

 

 

馬に揺られて

私が乗るのは白い馬。少しお年を召しているようだが、体は大きく、何事にも動じないのんびりとした顔つき。彼女の茶色の馬は、目つきが「どうだ!」と言わんばかりの元気な若い馬だ。

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彼女は乗馬経験があるものの、私は初めて。ジェイクの手助けで馬にまたがると、予想以上に視界が高い。しかも、ジェイクが手綱を引いてくれるのかと思っていたら、「3頭立てでツアーに出かけますよ」とのこと。簡単な手綱さばきを教えてもらっただけで、もう出発の時間。

「こんな素人が2時間も山道を行けるのだろうか」と不安になるが、さすが馬は賢い。ジェイクの馬を先頭に、正確に後ろをついていく。夕陽に照らされた巨岩を見ながら、モニュメントバレーの地を馬で行く。

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登ったり、下ったり、足の踏み場がない岩場でも、馬たちは足元を見ることもなく器用に歩く。本当に頼もしい。体を上下に大きく揺らしながらの駆け足は、気分も爽快。

日が沈みかけると少し肌寒くはなるものの、夕焼けに照らされたテーブル状の巨岩「メサ」は息をのむような美しさ。周囲には走り回る車もなく、私たち3人だけの世界。馬の歩みを止めると、静寂だけが広がる。

ときどき心配そうに我々を振り返る心優しいジェイク。物静かな男だけど、家族のことなどぽつりぽつり話してくれる。2時間たっぷりの乗馬体験だった。

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この旅では「迷ったらとりあえずやってみよう!」が口癖だったけれど、この乗馬ツアーは本当にやってよかった。

 

 

荒野に陽が沈み

赤ちゃんを抱いた奥さんも紹介してもらい、ジェイク一家に見送られてホテルへ戻る。帰り道はもう真っ暗。

この日の宿は、今回の横断の旅の計画段階で最も早く予約した「The View」。バレー内にある唯一のホテルで超人気なのだ。少々お高いが、その名の通り部屋のバルコニーからバレーの絶景を間近に楽しめる。

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私たちがチェックインした頃にはすっかり日も暮れ、巨岩のシルエットしか見えなかったけれど、インディアンアートをあしらった素敵な部屋だった。

 

 

バルコニーで夕食を

「とりあえず夕食にしようか」とレストランに向かったが、なんとなく部屋でゆっくり食べたい気分。レストランで持ち帰りできるかを聞くと「もちろんOK」との返事。ビュッフェ形式で、サラダバー、スープ、タコスを大皿に盛ってテイクアウト。2人で16ドル。

部屋で食べることにしたのには、実は理由があった。ここモニュメントバレーはナバホ族居留地のため、飲酒は禁止。ホテルにもお酒は売っていない。(アルコールフリーのビールは売っていたけれど)

なので、車のアイスボックスを部屋に持ち込み、冷えたビールで乾杯することにしたのだ。

部屋のバルコニーのテーブルに料理を並べての夕食。外は真っ暗だが、月明かりに浮かび上がった岩山。見上げればきれいな星空が広がる。

さすがに夜は冷える。夕食後も景色を楽しもうと、寒がりの彼女に部屋中のブランケットとバスタオルを巻き付ける。うーん、まるでミイラみたい。

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22時ごろになると決まって起きる現象が、彼女の “電池切れ” 。突然眠気に襲われるのだろう、この日も予想通りの時間にベッドに倒れ込んだ。そんな彼女を横目に、天気予報をチェックして明日のルートを組み立てる。しかし、眠気には勝てず、気づけば私も夢の中へ・・・。

(なお)

 

この日の走行距離=400マイル

総走行距離=3020マイル

 

 

★私から一言★

二度目のケンカ(?)の舞台となったのは、「Thunderbird Rock」という岩のおひざもと。 

ドライブ旅行をする人にぜひアドバイスしたいのは「ひとの運転に口出すな」ということです。うん。これはホントに。

さて、「駅馬車」や「荒野の決闘」でおなじみのモニュメントバレーはアメリカの原風景のひとつ。が、もともと道なんてなく、ジョン・フォードが映画の撮影のために道路を敷いたというから驚きです。

今から70年も前、ジョン・フォードも同じように巨大な岩山を見上げていたのかな。モニュメントバレーでは他にも「2001年宇宙の旅」や「捜索者」、「アパッチ砦」「バック・トゥ・ザ・フューチャーⅢ」などなど、色んな映画のロケが行われているので、見てから訪れてみるのもおススメです。

あと、馬でぽくぽく行く夕暮れツアーは最高!!!!!!!!

(のん)

 

DAY8に続く。

DAY8 グランドサークルとカナブの悪魔 - アメリカ横断2人旅

DAY6 ルート66を西へ!夕暮れのサンタフェ

 

Best Westernの温かい朝食

4月8日、7時起床。快晴。

今日も長いドライブになりそうなので、早めに出発する。疲れはたまっているけど、時差ボケもほぼなくなり、早起きも習慣になってきた。

嬉しかったのは朝食が温かいビュッフェだったこと。さすがBest Western!

ベーグルを焼いて卵とカリカリのベーコンを挟み、サンドイッチが完成。この日もランチ用に紙ナプキンに包んで、ちゃっかり “テイクアウト” した(時間も節約!)。

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カウボーイグッズを買いに

オクラホマを出て州間高速道路I-40を走り、再びテキサス州に突入。

I-40はイコール、かの有名な「ルート66」と重なる。どこまでもまっすぐな道(本当に数十キロにもわたって直線だったりします)、緑鮮やかだった南部とは打って変わり荒涼とした平原、のしのしと歩く真っ黒なテキサス牛たちに「アメリカ横断」を感じてテンションがあがる。

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この日は約500マイル(=約800キロ)先のサンタフェに早く着き、明るいうちに街を散策したいのであまり寄り道はしない予定。ただ、彼が「どうしても欲しい!」とカウボーイハットを熱望していたため、アマリロという街でI-40を下り、カウボーイ用品なら何でもそろう「CAVENDER’S」というお店に立ち寄ることにした。

ところが・・・「まぁ20~30分もあれば十分でしょ」と思っていたのに、広い店内には数えきれないほどのカウボーイハットやブーツがずらり!

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ウェスタンなTシャツやタンクトップ、ベルトのバックルなどの小物も充実し、見ていて飽きない。あっちをうろうろ、こっちをきょろきょろ。

帽子で迷って、服も買って・・・気がついたらもうお昼。なんと小一時間もショッピングを楽しみ、2人で200ドルも買い込んだのだった。オススメです!

【CAVENDER'S】7120 W I-40, Amarillo, TX(I-40沿いにあるのですぐわかります)

 

 

原野に刺さるキャデラック

続いては私が「行きたい!」と言って譲らなかった「Cadillac Ranch」へ。

何にもない土地の真ん中にキャデラックが10台、頭から突っ込んでいるというこの謎のポイントは、1974年に地元の大富豪がサンフランシスコからアーティストを招いて作ったもの。

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本当に地面にキャデラックが突き刺さってるだけなんだけど・・・「落書き自由」で何重にもスプレー塗装された車体は厚みが増し、毒々しい極彩色が茶色一色の平原にずらりと並んでいるさまはシュールというか、絵になるというか。

アメ車の黄金時代を表現したっていうのはホントかなぁ?と思いつつ、わいわい楽しそうなアメリカンファミリーに交じり、私たちも置いてあったスプレー缶でひと吹き、荒野の芸術に色を加えてみた。こちらは無料、ここもオススメ!

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【Cadillac Ranch】W I-40 Frontage Rd, Amarillo, TX79124

I-40西行きの62A出口を下りて左折、Cadillac Ranchのお土産ショップを右折して少し行くと、大地に刺さったキャデラックが見えてきます。 

 

 

ニューメキシコ州

さてさて、道草はこの辺で。そろそろマジメに目的地を目指さねば。

テキサス州ニューメキシコ州の州境が近づいてくると、辺りの風景は低木が目立つ荒涼とした岩石地帯になってきた。

エイドリアンという小さな町の外れにはルート66の中間点、「Midpoint Cafe」があるけど、サンタフェに急ぐ私たちはスルーして西に走る。

ニューメキシコ州に入ると、ここで山岳部のタイムゾーンに突入! 時計の針を1時間戻す。国内時差はもう2回目だけど、サンタフェに早く着きたい今日はよけいに「1時間」のボーナスが嬉しい。

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ニューメキシコ州最大の都市アルバカーキの手前でI-40を下り、下道で小さな町をいくつも過ぎて北上。標高も上がり、曇り空から時折ぽつぽつと雨も降ってくる。

岩石地帯から、再び緑豊かな山へ。だけど、この辺の樹木はアトランタニューオリンズの新緑とは違い、背が低くて色が濃い。

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どんより曇り空の下、車の通りもぐっと減り、彼も寝てしまって独りの道行き。アップダウンの続く静かな山道を走っていく。

 

 

古都サンタフェ

サンタフェに近づくにつれ、壁を薄茶色の土(日干し煉瓦?)で塗り固めたような建物が目立ってきた。この辺りはもともとインディアンが古くから住んでいた土地。先住民族に敬意を示した建築意匠なんだろう。

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サンタフェアメリカ建国のはるか前、1607年にスペインによって建設されたという。その後、先住民族が統治し、次いでメキシコ領になり、アメリカ合衆国の一部になったのは19世紀になってからだ。

そのせいか、サンタフェアメリカであってアメリカじゃない。土壁の街並みもそうだけど、街に漂う雰囲気が・・・インディアンの息吹も感じれば、ラテンの風情もある。山岳地帯の真ん中にこじんまりと佇む "Santa Fe=聖なる信仰"。「アメリカの宝石」と呼ばれるのもうなずける。

日本人はサンタフェというと宮沢りえのヌード写真集を思い浮かべるけど(実際、ネットで検索してもまず写真集が出てきた。どーなのよそれ)、ここはアメリカ人も憧れる特別な街なのだ。

 

 

最古の教会、最古の家

この日の宿は彼が日本で前もって予約してくれていた「Old Santa Fe Inn」。

入口に赤い唐辛子のリースがぶら下がっていたりして、「おお、ニューメキシコっぽい!」と喜んでいたら、中に入ってさらにびっくり。

大きな木製の扉を開けると、ロビーにはインディアンクラフトなクッションを添えたソファ、木目の手すりの感触が気持ちいい階段。部屋には暖炉まで備え、浴室はタイル貼り。

いちいち造形が可愛く、まるでジブリの世界。ベッドにダイブして「もうここでゆっくりする・・・」とつぶやいたのは半分本気だった。

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とは言え、せっかくのサンタフェだ。時刻は17時。スタバのコーヒー(なぜかこのホテルでは飲み放題)で一息入れて、日の落ちる前に散策に出かけた。

まずは「水曜どうでしょう」で大泉さんが「こんなところで結婚式を挙げたいねェ」と言っていた全米最古の教会へ。

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教会と言えば尖った塔や三角の屋根をイメージするけど、1610年頃に建てられたサン・ミゲル教会は土色の四角いフォルム。こじんまりと可愛く(やたらカワイイを連発してスミマセン。でもサンタフェはホントに街全体がカワイイのです)、もう閉まってて中に入れなかったのが残念。

すぐ隣には最古の家、「Oldest House in the USA」。何をもって最古なのか、誰が認定したのか、ホントに最古なのか? 疑問は尽きないものの、とにかく12世紀に建てられたという説まであるおうちで、半分はインディアンアートのお土産屋さんになっていた。

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てくてく歩いてお腹が減って

残念ながら時間が遅く、アートギャラリーが軒を連ねるキャニオン・ロードはほとんどのお店がclosed。街全体も店じまいの雰囲気だけど、店先にあるオブジェを眺めたり、ショーウィンドウ越しに見たりするだけでも結構楽しい。

サンタフェの中心部は端から端まで歩いても1時間ほど。散策するには手ごろな街だ。

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ぶらぶらしているうちにお腹も減ってきて、この日は久々に外食することに。考えてみれば、ずっとスーパーで買って部屋で食べる日々が続いていて、まともにテーブルについて食事するのはNY以来。

彼がなぜか「サンタフェのワインで乾杯する!」と意気込んでいたので、ホテルでもらったツーリストガイドを参考に、ニューメキシコ料理のレストラン「The Shed」に目星をつける。

が、Shedはかなりの人気店らしく、呑気に小さな中庭を抜けて、途中の工芸店でお土産を買ったりして店に入ると、「予約ナシ?今だと1時間15分待ちですネ」

「えっ、1時間15分!? 」、気分はすっかりタコスで舌鼓気分だったのに・・・これだけ混むんだからさぞ美味しいんだろうとは思うけど、そんなに待つのはツライ。

予約を取っているらしいアメリカ人のご夫婦に「1時間15分だって!ハ、ハ、ハ!そりゃ大変だ!」と陽気に笑われ、すごすごと退散した。

(しかし日本人に同じこと言われると絶対腹立つのにアメリカ人だと「そうなんだよ、too badでしょ?」ぐらいの気分でいられるのはなぜだろう?)

 

 

念願のニューメキシコ料理

その後、いろいろ迷った末、散策途中で迷い込んだ「Blue Corn Cafe」というお店へ。

Cafeと名が付いているものの、店員さんに聞いてみればメニューはニューメキシコ料理が中心で、しかも店で仕込んでいる地ビールも豊富。

「新婚旅行で来てるんです」と言うと、街角を見下ろせるいい席に案内してくれ、オススメ料理も教えてくれた。

野菜と肉を鉄板で焼いたFajitas(ファヒータ)に、定番のTaco(タコスとは言わないらしい)。ニューメキシコ料理に欠かせないビーンズもたっぷりで、久しぶりの美味しい料理に大満足。

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オーダーのたびに「Perfect!」と料理のチョイスをニコニコ褒めてくれる店員さんの笑顔も嬉しく、ついついお酒も進む。いい気分で酔っ払っていると、窓の外ではいつしか夕陽が沈み、深い青の残る空の下、オレンジ色の街灯が通りを照らしていた。その美しいこと!

 

のちのち調べると、サンタフェには最古のマリア像がある聖フランシス大聖堂(しかし  “最古” が多いなァ)や、支柱のない「奇跡の階段」があるロレッタ・チャペルなどなど、まだまだ見どころがあったらしい。

一つの街を堪能し尽くせないのは横断の旅の悲しいところ。それぞれの街を腹六分目ぐらいで走り抜けてる感覚で、サンタフェも一泊では全然物足りなかった。

今日はずいぶん長く書いちゃったけど、それだけサンタフェが楽しかったということで。うーん、サンタフェ。いつか絶対もう一回行くぞ!!!

(のん)

 

この日の走行距離=500マイル

総走行距離=2620マイル

  

 

★俺から一言★

途中で寄り道して買ったカウボーイハット。車を運転しながらかぶっている人も多く見かけるほど、暮らしの中に根付いていた。「アメリカらしいなぁ」と見とれていたら、テキサス州を出た途端、誰もかぶっていない・・・。それだけテキサスの象徴なんだろうと実感。

この日以降、ずっと帽子をかぶって旅を続けたので、アメリカ人からすると「あー、浮かれてる観光客だなぁ」ぐらいに思われただろうけど、やっぱり気分が高まるものです。

水曜どうでしょう」を見てから、いつかカウボーイハットで横断することに憧れていた自分。本当は馬の絵柄が入ったメタル製のシャツもほしかったのだけれど(わかる人にしかわからないかもしれませんが・・・)、次の楽しみにとっておきます。

 

そして、サンタフェの面白さ!どこが楽しいのかと言えば、街歩きができること。車社会のアメリカにあって、のんびり散策ができる街はとても魅力的。

「いかにもアメリカ!」という街歩きを楽しめたのはニューオリンズだったけれど、サンタフェはどこかアメリカっぽくない雰囲気を漂わせ、不思議な魅力があった。

それにしても、サンタフェまで来ると日本人はおろか、アジア系の観光客の姿をまったく見かけない。一般的な旅行ではアクセスしにくいのかもしれないけれど、なかなかオススメの街ですよ。

(なお)

 

DAY7に続く。

DAY7 憧れのモニュメントバレー - アメリカ横断2人旅

DAY5 オクラホマまで激走!

 

ニューオリンズを出発

4月7日、7時半起床。快晴。

ルート変更してニューオリンズに立ち寄ったため、この旅いちばんの長距離移動になる一日。気合で早起きし、名残惜しいけど8時頃にはホテルを出発! 

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と言いつつ、まずは郵便局へ寄り道。DCで買った絵ハガキを日本に出そうとホテルのコンシェルジュに相談したら、ホテルでは出せないとのことだったので(出してくれるホテルもあるらしい)、近くにある郵便局を教えてもらったのだ。

路駐して、私は車でお留守番。彼は初めての郵便局へ。緊張しながらも国際郵便で出すことを伝え、何とか投函できたようだ。

 

 

初めてのハンバーガ

いよいよドライブ開始!

目的地は700マイル(=約1120キロ)以上先のオクラホマシティ。目標とする22時に着けるのか微妙ながら、とりあえず急ぐ。I-10を西へ、I-49に乗り換え北へ、さらにI-20に乗り換え再び西へ。

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昨日、Whole Foodsで見たデリコーナーがとっても美味しそうだったので、「道すがら寄ってランチを買いたいね」と2人の意見が一致。彼が助手席でスーパーの場所をネット検索してくれるも、EXITを下り損ねて痛恨のスルー。

この「彼のナビ通り私が運転しない」ことは後々、車内で色んな不和を巻き起こすのだが・・・それはまた改めて。(私からすれば指示が急すぎたり、よくわからなかったりするわけで・・・ゴニョゴニョ)

 

ひとまず、次のEXITで下りて「Wendy's」に寄り、ランチは5日目にしてこの旅初のハンバーガーに決定。Wendy'sは日本にもあるけど2人とも食べたことはない。比較できないのだけれど、さすが本場。予想以上のおいしさ!

 

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ちなみに、ハンバーガー屋さんのドリンクは飲み放題で、カップもバカでかい。コーラだけでも、味やらフレーバーやらの組み合わせで数十種類もある!

車の窓ガラスを掃除するスポンジや洗剤も買い、気分を新たに出発。

 

 

テキサスの田舎道

ようやくテキサス州に入る。

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さて、この日はルート上に大した見どころもなく、それゆえに「ひたすら走る日」になったのだけど、唯一途中のダラスには「ケネディ大統領暗殺」というポイントがある。

実はひそかに「寄れたらいいな」と思っていたのを知ってか知らずか、彼は「とは言っても、見るところは何もないみたいだよ。撃たれた道の上にX印があるぐらいで」と素っ気ない。

それに加担するように、ナビもダラス手前で北上を指示。高速を下りて走るルートを示してくるではないか。都市部は混むので、それを迂回するためなのだろうけど・・・。ケネディ暗殺も「また次の機会」に、だ。

ちなみにNJで借りた私たちのレンタカーは「Texas」ナンバー。私たちもNJで借りてLAで乗り捨てるんだから、きっとこのカローラもテキサスからはるばるNYまで乗ってきた人がいるんだろう。

 

インターステイトを下りて「TX69」という国道に入る。これはテキサス州の国道という意味らしい。“彼女” にとっては久々の里帰りというわけだ。 

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あ、彼女というのは、ナビが女性の声なので、いつの頃からか勝手に車を "彼女" と呼ぶようになったからです。旅仲間として。

長い長ーい車旅、しかも車内はいつも彼と私の2人きり。もう1人ぐらい喋る「相棒」が欲しくなるのです。

 

下道なのに広くて対向車も少ないから、時速90キロぐらいでぐんぐん走る。

アメリカは街に近づくと、スピードリミットが65マイル(=時速約105キロ)、50マイル、30マイルと短い間隔でどんどん低くなる。

道路以外何もなかった平原や湿地帯から、ぽつぽつ家が見え始め、メインストリートの交差点まで来れば、レストランに床屋、銀行、ガソリンスタンド。それを過ぎるとすぐに街が尽きる。

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古い建物やつぶれたスタンドもちらほらあって、まるで日本の田舎の小さな町みたい。「スタンド・バイ・ミー」の田舎町もこんな感じだったかな。少し寂しいけれど、農家のトラクターがとことこ走っていたりして、アメリカの田舎の風情も感じた。

 

 

馬をめぐるケンカ

草原と牧場が広がるテキサス。そこら中で馬が草をはんでいる。

アメリカの真っ直ぐな田舎道、雲がぽっかり浮かんだ青空、広がる草原と柵越しに見える馬。「ああ、いいなァ」と思っていると、助手席の彼が急に「あそこで停めて!」。

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「え、どこ?ここ?!」・・・と言ってるうちに通り過ぎる。どうやら彼は写真が撮りたかったらしい。

「馬ならまだこれから先もいるよ。次は停まるよ」と謝ってみたが、「家も白い柵もあって、あの風景が理想的だったのに・・・」とご機嫌斜めな様子。

おお、この旅、初めてのケンカ!

しばらく走ると似たような風景があったので、今度は私から車を停め、「ほら馬がいるよ~」と水を向けてみる。彼はまだ機嫌が直らない様子だったが、馬がポクポク近くに来てくれて笑顔になった。馬、ナイス! 仲直りに写真撮影。

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ちなみにこんなとき、 "彼女" はテキサスへの里帰りが感無量だったのか、それともケンカなど見ぬふりした方がいいと思ったのか、全然喋らなかった(ま、一本道だからナビする必要がないのだが)。

 

 

真っ赤な夕陽に照らされて

そうこうしている間にオクラホマ州に入り、だんだんと日も傾いてきた。 

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大平原にゆっくりと沈む太陽。あまりに雄大で、2人とも「キレイだねえ」「すごいねえ」以外の言葉が出てこない。車を停めて心ゆくまで見ていたい衝動に駆られるも、早く宿に着かなきゃとアクセルを踏む。 

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アメリカは空が広い。視界を遮るビルや山がないので、夕焼けの光は最後の最後まで空に明かりを残す。黒い夜のとばりの下、かすかな紫色がすぅっと西の空に消えるのを見送り、ようやく私たちはガソリンスタンドでこの日の宿を決めた。

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翌日のことを考えると1マイルでも先に進んでおきたいけど、夜のドライブは神経を使うことは初日のドライブで経験済み。「やっぱり宿には22時ごろには着きたいね」ということで、オクラホマシティの西郊外にある「Best Western」をネットで予約。

Best Westernはモーテルの中では最上級で、世界中にホテルを展開している有名チェーン。私としては部屋の前に車を停める、少し安っぽい感じの “ザ・モーテル” に泊まりたいのだが、ワガママを言っている場合ではない。外はもう真っ暗だ。

夜の訪れとともに、眠気もやってくる。オクラホマシティが近づいてきたところで、彼に運転を交代し、私は助手席で眠りに落ちた。

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憧れのモーテルスタイル

熟睡しているうちにオクラホマシティは通り過ぎ、気が付けばモーテルのすぐ近く。

孤軍奮闘で運転を続けた彼によると、オクラホマシティは田舎道ばかり走ってきたこの日、久しぶりに現れた大都市で、大きなビル群と光の海に圧倒されたらしい。

だけど、大変だったのはシティに入ってから。

昨日私が運転したアトランタの中心部も6車線(車線多すぎ・・・)に出入口が複雑に入り組み、「インター地獄」の様相を呈していたけど、オクラホマシティも同様だった様子。

彼は高速の分岐を見失い、Uターンしたり、また乗り間違えたりと夜の都会を一人心細く疾走したそうだ。

何とか宿に着いたのは22時過ぎ。ああ、疲れた・・・と思ったら、なんとここのBest Westernは部屋の前に車を停めるスタイル!

アメリカに来たからにはやってみたいと思っていたことが、まさかここでできるとは。

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部屋で食べた遅めの夕食のラップは激マズだったけど(TX69の途中のスーパーで買った。3.99ドル。もちゃぁとして塩辛くて本当にまずかった・・・)、窓のすぐ外に愛車の存在を感じながら眠り、長い長いドライブの一日は終わった。

(のん)

 

この日の走行距離=750マイル

総走行距離=2120マイル

  

 

★俺から一言★

日本でドライブをするときも、高速より一般道が好き。高速の景色は全国どこも似ているし、街なかを走らないせいか「その土地らしさ」が味わえない気がするから。

アメリカの高速は初めて見る景色ばかりなので飽きることはなかったけど、やっぱり一般道の方が風情があった。アメリカ人の普通の暮らしが感じられるような気がして。

北海道出身者としては、道内の田舎道の感覚に似ている。畑や草原を抜けると家が見えはじめ、ガソリンスタンド、交番、農協、セイコーマートの一角を過ぎると、次の町までまた何もない・・・みたいな。

でも、スケールは比べものにならず、"彼女" も「300マイル先をレフトターンです」とか平気で言ってくる。そりゃ、無言にもなる。

 

ダラスのケネディ暗殺場所、本当は行きたかったけど、時間がないから諦めたのが事実なのです。あまり残念そうな顔すると、彼女が「何とかして行かなきゃ!」と気遣ってくれるだろうと思って。次回はぜひ行こう。

馬をめぐって・・・ま、ケンカというほどじゃなかったんだけど、こうして振り返ると恥ずかしいやら、おかしいやら。ケンカなんていつもそう。原因は決まってくだらないことばかりなんですよね。

(なお)

 

DAY6に続く。

DAY6 ルート66を西へ!夕暮れのサンタフェ - アメリカ横断2人旅

 

DAY4 やってきたのはニューオリンズ

 

 感動のサプライズ

4月6日、7時半起床。晴れ。

ぐっすり眠ったはずなのに、まだ眠い。

朝食はお味噌汁に白米。元気いっぱいになったところで出発の時間がやってくる。

 

「名残惜しいなぁ」と後ろ髪を引かれる思いでガレージに停めてあった車に向かったところ・・・な、なんと、そこには目を疑う光景が!

 

フロントガラスに盛り花が飾られ、さらに「Just Married(新婚ホヤホヤ)」のバルーンが揺れているではないか!!

昨日の昼間、義兄が「ちょっと用事が・・・」と家を出たり入ったりしていたのは、これを買いに行くためだったのか。

なんて心温まるサプライズ。粋なお祝いに思わず目がうるむ。ミーちゃんと義姉に見送られ、胸を熱くしたまま出発だ!

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次はどこへ行く?

アトランタからは、高速道路をひたすら西に走るのが当初の作戦だった。ところが、昨日みんなでビールを飲んでいたときの義兄の一言が我々の旅を変えた。

「明日はどこに行くの?ニューオリンズもいいよね。行くのかな?」と義兄。

「え、行けるんだ!?」とびっくりの私。

 

日本でルートを組み立てていたときは、最初から無理と思って却下していた。いざ地図で調べてみると500マイル(=約800キロ)ほど。これは可能かもしれない!

問題はニューオリンズから先のルート。2日後に泊まる予定のニューメキシコ州の街へたどり着けるのか・・・。いろいろ検討してみたが、最後は「ま、何とかなるだろう」と開き直ることにして、昨夜のうちにあっさりと予定を変更したのだ。

柔軟に旅程を変えられるのもドライブの旅ならでは。

 

 

渋滞もなんのその!

この日から朝一のドライブは彼女の担当に決定。

アトランタ中心部は高速道路が複雑に入り組み、まったく気が抜けない。最大で片側6車線はあるだろうか。何度か道を間違えながらもナビを凝視して必死に走る。

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ちなみに、アメリカの高速道路には2人以上乗っている車専用の優先レーンが設けられている区間がある。場所によって表記は「HOV(High Occupancy Vehicles)」だったり「Carpool」だったりするが、朝夕はとても便利。渋滞を横目にスイスイ走れる。

 

 

時差のボーナス

市街地を抜けると車線の減少とともに車も減り、のんびりとした雰囲気になる。ようやく一息ついた。アラバマ州に突入。

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ニューオリンズで観光するため少しでも早く着いておきたいところだが、残りはまだ400マイルほど。

気持ちが焦るが、ここで威力を発揮するのが時差だ。

準備編にも書いたが、アラバマ州境を超えた途端、早速ボーナスの1時間をゲット! ウキウキしながら時計の針を戻す。

時間にゆとりができたので、長距離ドライブには欠かせないアイスボックスを買おうと高速を下りてウォルマートへ。

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膨大な商品が並んでいる中でお目当てのアイスボックスを見つけるも、種類が多すぎ。しかも、「Coleman」などのブランドものは30ドル近くする。「ちょっと高いよねぇ」と購入に難色を示す彼女。

確かに、旅の終点のLAで捨てて日本に帰るとしたら、使用するのはあと1週間ほど。「買うのやめようか」と相談していたが、最安のものを見つけて購入することにした。16ドル。

食材や水を買い、アイスボックスに氷を詰め込んで出発。後部座席に即席の「冷蔵庫」が誕生した。

リンゴやチョコレート、夜に備えてビールも冷やしておく。アイスボックスの登場で、大陸横断の旅が急に心強くなった気持ちになるから不思議だ。ぜひ用意することをオススメします!

気持ちに余裕が生まれたため、ここまで運転を頑張ってくれた彼女はお昼寝タイム。アラバマ州の州都モンゴメリーでI-65に乗り換え、一路ニューオリンズをめざす。

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メキシコ湾に寄り道

ようやくミシシッピ州に突入。郷土のヒーロー、エルビス・プレスリーが笑顔で出迎えてくれた。

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トイレ休憩もかねて、ときどきガソリンスタンドへ。楽勝で給油・・・のはずが、給油機の中にはハンドルを上げ下げしないとガソリンが出ないタイプもあるのだ。

店員に何度も聞きながら、やっとの思いで泣きながら給油する。

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ニューオリンズまであと120マイル。

順調なドライブを続けてきたが、地図を見ていたら不意にメキシコ湾を見たくなった。

少し遠回りだけど、せっかくここまで来たのに通り過ぎるのはもったいない。高速を下り、住宅街や別荘地帯を抜け走ること15分、ようやく海が見えた。

 

初めて見るメキシコ湾。

ミシシッピ川がはき出す土砂のせいか、海が茶色に濁っていてワイルド。サンダルに履き替え砂浜を歩く。水は冷たいが、しばし波打ち際で遊ぶ。

誰もいないビーチ。海風も気持ちいい。

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バーボン通りを激走

日暮れ前の到着を目標に再出発。

運転を彼女に交代し、助手席で今宵の宿を探す。フォレスト・ガンプがエビ漁をする舞台にもなった南部モビールの街でI-10に乗り換え、ルイジアナ州に突入。

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ニューオリンズをめざし、大きな湖にかかる長い道路を突っきる。遠くにビル群が見えてくる。もう夕方なのに日差しが強い。アメリカ最南部にやって来た感がひしひしと高まる。

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高速を下り、ナビの指示に従ってホテルへ向かう。

ところが、またしても平穏なドライブに危機が訪れた。

ホテルはニューオリンズの中心部フレンチ・クォーター地区のさらに中心、あのバーボンストリート沿いだったのだ。

観光客でごった返す通りを車で抜けるという予想外の展開。話しかけても返事もせず、真剣な顔つきで運転する彼女。あまりの必死さに思わず笑ってしまう。

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何とかホテルにたどり着き、チェックイン。今宵は「Four Points by Sheraton」。

中心部なのに、ホテル内は静かでゆったり。部屋も可愛らしい雰囲気だ。

中庭ではイギリスから来たおばちゃまたちが、生演奏にノリノリでダンスに夢中。ニューオリンズはなかなか楽しい街だ。

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街に繰り出す

時刻は17時。

地元音楽家やアーティストが集うジャクソン広場に入ろうとするも、中から「Closed!!」の声。残念。

気を取り直し、近くにある有名な「カフェ・デュ・モンド」へ。砂糖たっぷりのフレンチドーナツ「ベニエ」を注文。驚くほどの粉砂糖がかかっているが大丈夫か!?

品のいいおじさまウェイターに「甘くないですか?」と聞いたら、「ちょっとね、ウフフ」とウィンク。この怪しげなウィンクは激甘の証拠だろう・・・と食べてみたら、これが意外に甘くなくて美味しい!

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2人で1皿で十分だったけれど大満足。ハーブ野菜「チコリ」入りのコーヒーとの相性もバツグンだった。

カフェの裏手に流れるのはミシシッピ川。思えば、子どものころに「トムソーヤの冒険」を見て以来、「いつかこの目で見るぞ!」と思い続けてきた憧れの川だ。

「ボォーー」という汽笛を鳴らし、ちょうど汽船がやってきた。夕焼け空が薄紫に染まり始め、情緒ある光景にうっとり。

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日も暮れたので、街を練り歩く。今夜の目標は二つ。

まずは私の「本場のJAZZを聴きたい!」という希望。

もう一つは彼女の「アメリカ最古のライブバーに行く!」というリクエスト。

お土産屋をのぞきながら、街の様子をつかもうと一歩きしてみる。路上では次々にJAZZの生演奏が繰り広げられる。

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仮眠のはずが・・・

ところが、連日の運転の疲れか、はたまた時差ボケがまだ治らないのか、彼女の表情がさえない。楽しげな通りを歩いていても、眠気と必死で闘っている顔つきなのだ。

ひとまずホテルに戻り、仮眠をとってもらうことにした。

30分ぐらいで起こそうと思ったが「スースー」と寝息を立てぐっすり眠っている。とてもじゃないが、不憫で起こせない。

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彼女の眠りもすでに2時間近く経ち、仮眠から熟睡モードに切り替わっている様子。

時刻はもう21時過ぎ。だんだんと夜も更けてきた。

「このまま寝かせてあげようかな・・・」と何度も思ったが、通りの喧噪やどこかで鳴っているトランペットの音が窓越しに聞こえてくる。

「やっぱり本場のJAZZを聴きたい!」というワガママを貫くべく、心を鬼にして彼女を起こす。ごめんね。

 

 

本場のJAZZを堪能!!

眠たい目をこすりながらバーボンストリートを歩く彼女。

「可哀想なことしたなぁ・・・」と反省しながらも、向かったのはフレンチ・クォーター最古の建物の一つ、JAZZスポット「プリザベーション・ホール」。

到着するとすでに演奏が始まっている。入り口で1人15ドル払い、慌てて中に入る。

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年季が入った木造のホール。ステージ上ではオヤジたちが熱演。ディキシーJAZZのリズムに、大勢の客が手拍子やかけ声で答える。立ち見だが大興奮!

2、3曲聴いたら出ようと思っていたけど、想像以上の心地よさ。これはゆっくりと聴かねばならない。そのためには何としても必要なのがお酒だ。

だけど、老舗のJAZZホールだけあって、さすがに硬派。「黙ってJAZZを聴け」と言わんばかりに、飲み物が売っていない。

 

一度外に出て、近くのバーに買いに行く。カウンターには美人店員。

地ビールをオーダーし、急いでいたので「釣りはいらねーぜ」と颯爽と店を出た。アメリカのバーでやってみるのが夢だったのだ。たった2ドルのお釣りなんだけど。

プリザベーション・ホールは持ち込みOKなので、訪問される方はぜひ外で飲み物を買ってから入るべし。

大音量のJAZZを堪能し、定番の「聖者の行進」も演奏してくれた。すっかり満足して、お土産にレコードまで衝動買い。

 

 

奇跡のピアノバー

ホールを出るともう23時過ぎ。

そろそろホテルに戻ろうかなとも考えたけど、彼女が調べてくれていたバーボンストリート沿いのバー「Lafitte's Blacksmith Shop」にも立ち寄ってみることに。

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JAZZバーだと思っていたら、ピアノバー。店の奥で初老の女性がピアノの前に座っているのが見える。

お店はおおにぎわい。大きな声が飛び交い、カウンターで注文するのも一苦労。モヒートを注文したが、感じのいいマスターは、「そんなしゃれモノはない」とばかりに首を横に振る。

注文を悩んでいたら、ふとビリー・ジョエルの「Piano Man」を思い出した。

歌詞にある通りに「トニック&ジン」とオーダーしてみると、笑顔で親指を立ててくれるマスター。うーん、まさに歌のような雰囲気のお店だ。

 

テーブルに戻り、ニューオリンズ到着を祝って乾杯。すると、ピアノからビリーの曲が聞こえてくるではないか。

あまりの偶然にびっくりで声が出ない。大好きな曲の一つ「Scenes From Italian Restaurant」だ。

先ほどの小柄な女性が、声を振り絞るようにパワフルに歌い上げる。

続けて、我々の結婚パーティーの入場にも使ったQUEENの「Don’t Stop Me Now」を演奏。これも何かの偶然か。鳥肌が立つ。

 

店内の雰囲気は最高潮。ニール・ダイアモンドの「Sweet Caroline」が流れると、グラス片手にみんながピアノを囲み、声を合わせて「So Good! So Good! So Good!」と大合唱。

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そのとき、隣にいた親子に話しかけられた。なんでも父親は横田基地で働いた経験があるとかの親日家。新婚旅行でアメリカをドライブしていることを話すと、「それはめでたい!!」と祝ってくれ、再びみんなで乾杯。

最後に弾いてくれたのが、これまたビリーの「Just The Way You Are」。

うーん、こんなに大好きな歌を次々に弾いてくれるとは、偶然にしては出来すぎではないか。

 

すっかりいい気分。店内にあったプリクラなのか証明写真機なのかよくわからぬブースで写真まで撮る始末。普段こんなことをしない我々なのに、きっと酔っ払いすぎたせいだろう。

 

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深夜になっても人通りが絶えないバーボンストリート。ほろ酔いでホテルへ戻り、この日も再び深い眠りに落ちるのであった。

(なお)

 

この日の走行距離=500マイル

総走行距離=1370マイル

 

 

★私から一言★

何車線もある道路を走るのは日本でだって怖い(首都高なんて迷路だよ・・・)。朝、お味噌汁を飲んで意気揚々と出発したはいいものの、アトランタ中心部に突入すると、もうそこは車線地獄。

さすがアメリカ、車は1人1台の国だから、出勤ラッシュの朝は2人1台、3人1台と相乗りしている車は優先車線を走れる。が、調子に乗ってHOVを走ったら、分岐でモタモタ、後続車に「ブー!!!」と大きなクラクションを鳴らされた・・・

 

さて、思いつきと勢いで立ち寄ることにしたニューオリンズは、結果的に立ち寄って大正解。

「なんで行かない予定でいたの?」と彼に文句を言ったほど楽しかった。通り沿いのホテルは深夜まで喧噪に包まれていて、滞在中は本当にずっと音楽が聞こえていた。(なので静かに寝たい人にはおススメしません)

ちなみに、本文にあげた最古のバーなど、いわゆる観光スポットを調べたのは当日ドライブしながら。

「カフェ・デュ・モンド」ではお土産にマグカップをお買い上げ。シチューをご飯にかけて食べる名物料理「gumbo」は食べ損ねたけど(アメリカは南に行くほど料理が美味しいらしい!)、行き当たりばったりでも旅は結構楽しめるもんです。

(のん)

 

DAY5へ続く。 

DAY5 オクラホマまで激走! - アメリカ横断2人旅

DAY3 南部でのんびりと

 

早起きして出発

4月5日、7時起床。晴れ。

昨日の疲れか、さすがに眠い。きょうの目標は、できるだけ早く彼女の姉夫婦が住むアトランタにたどり着くこと。

Quality Innのコーヒーは予想通りの薄さだが、パンケーキやヨーグルトなどは食べ放題。時間とお金の節約のため、お昼ごはん用にスコーンを持ち出したいところだ。

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私:「これ、いくつか持っていこうぜ。ナプキンに包んで」

彼女:「え・・・」と心配そうな顔。それでも、静かに目でうなずく。

 

コーヒーも何とか持ち出せないかなと思っていたら、周りのアメリカ人はみんな大きなカップにコーヒーを入れ、次々に出発。そんな彼らをフロントの女性は笑顔で見送る。なーんだ、遠慮する必要はないんだな。

運転2日目だが、駐車場から道路に合流するときは、ついつい車線を間違えそうになる。冷や冷やなドライブが続くが、さわやかな朝の運転はとても気持ちがいい。

ガソリンも早めの補給。あんなに緊張していた給油も、もうお手のモノ。

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姉夫婦の家まで300マイル(=約480キロ)の道のり。I-85を飛ばし、サウスカロライナ州に突入。

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アメリカでは高速道路で州境をまたぐと、各州ごとに観光情報センターがある。

州内の観光名所紹介や道路地図がもらえたりする。中にはコーヒーをくれるところもある。なので、州境を超えるたびに立ち寄ってみた。相変わらずコーヒーは薄いけれど。

 

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順調にジョージア州にも突入。ジョージアと言えば、レイ・チャールズの歌でしかイメージしたことがなかったけど、緑豊かな大地。青空もまぶしい。

 

 

めいっ子と過ごすのんびりDAY

5時間ほど走り、アトランタ郊外の街に到着。高速を下り、ショッピングモールをいくつか過ぎて住宅街へ。

映画で見たような、きれいな家が整然と並んでいる。これがアメリカの暮らしなのかと感動。3歳のめいっ子、ミーちゃんを先頭に姉夫婦一家3人が出迎えてくれた。

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昨日の過酷なドライブとは打って変わり、きょうはのんびり過ごせる一日。家のバルコニーで涼しい風に吹かれながら、昼間からビールをいただく。みんなでワイワイ日本語でおしゃべり。心からほっとする。

義兄は夕方のフライトで出張とのこと。家を出たり入ったりで忙しそう。それでも、出発ギリギリまでビールに付き合ってくれる。義兄を見送った後は、裏庭でミーちゃんと遊ぶ。

庭には桜の木が植えられ、ときおり花びらが舞い散る。

アメリカ南部にいながらも、ミーちゃんが方言で連発する「なんでなーん?なんでなーん?」を聞いていると、なんだか日本にいるような気にすらなる。

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4人で近くのおしゃれスーパー「Trader Joe's」と「Whole Foods」へ。海外でスーパーを訪れるのが大好きな私たち。広い店内を興味津々で歩く。

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旅のおともにビールを買おうと思ったが、あまりの種類の多さに圧倒される。お土産も買い込んだ後は、家に戻ってディナータイム。

義姉手づくりのスペアリブに加え、酢の物とカボチャの煮付けに大満足!

まだまだ旅は始まったばかり。こんなにおいしい和食を早々に食べてしまって大丈夫か・・・この先の食事のことを考えると、ついつい不安もよぎる。

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シャワーを浴び、すっかりくつろいで体力回復。ドライブの旅の悩みの一つでもある洗濯も無事に終えることができた。

時差ボケの影響がまだ残っているのか、睡魔が急にやってくる。気づけば今夜もいつしか夢の中へ。

(なお)

  

この日の走行距離=300マイル

総走行距離=870マイル

 

 

★私から一言★

私も彼に負けず劣らず、旅先で訪れる外国のスーパーが大好き。

以前、イタリアを旅行したときは脂っこい外食に辟易して、最後の方はスーパーでトマト(激うま!)やバジルを買って“自炊”した。アメリカは特に新鮮なお野菜不足になりがちなので、デリやサラダを買って食べる「スーパー作戦」はおススメ。

全然知らなかったけど、Trader Joe'sは日本でもオシャレなナチュラル系スーパーとして人気があるらしい。3~4ドルで買えるエコバッグが、なんと日本では1000円以上で売られていた!

(のん)

 

DAY4へ続く。 

DAY4 やってきたのはニューオリンズ - アメリカ横断2人旅

DAY2 大陸横断開始。NJ→DCへ

 

不安だらけの出発

4月4日、7時起床。曇り。

いよいよアメリカ横断の始まり。やや緊張しながらホテルを出る。レンタカー店まで歩いて5分ほど。不安を抱えつつカウンターで手続き。

前述の通り、予約していたのに「フルサイズの車はない」と女性店員に言われる。さらに、「ガソリンが満タンじゃないから少し値引きしておく」と早口で告げられる。うーん、これがアメリカンスタイルなのかと自分に言い聞かせ、キーを受け取る。

彼女を不安にさせまいと平静を装ってエンジンをかけるが、やっぱり心配。ウィンカーとワイパーの位置を確認して駐車場を出ようとしたら、お決まりの車線間違えで係員のおじさんに注意される。

彼女に朝食のサンドイッチを買いに行ってもらっている間、1人で車のことをいろいろ調べる。彼女の不安を少しでもやわらげようと、用意してきたiPodやらBluetoothスマホの音楽もセット完了。

さぁ、出発だ!!

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とその前に、まずは市街地をグルグルと慣らし運転することに。道路に出たときの不安は、初めて免許を取ったときのあの緊張感に似ています。

ハンドルを握りながら、「左折レーンってここであってる?」とついつい確認してしまう。

「赤信号だけど右折していいんだよね?」と話しかけずにいられない。しかも、後続車が気になってしょうがない。本当にこんなことでLAまで行けるのだろうか・・・自信がなくなる。

ナビの指示もよく理解できぬまま、なんとか州間高速道路のインターステート78号線(I-78)に合流し、さらにI-95へ。楽しいドライブの始まりのはずなのに、どうも口数が少ない2人。

こちらの緊張が伝わっているのか、助手席の彼女の表情がこわばっているように見える。これが快晴の青空なら不安も解消されるのだろうに、こんなときに限ってどんより曇り空。しかも雨まで降り出す始末。心細さはマックス。

それでも高速を少しずつ走るうちに、なんとなく余裕が出てきた。マンハッタン方向、遠く海側に昨日と同様、お尻を向けた自由の女神が見える。最後までお顔を拝見することができなかった。さよならNY。

 

 

不安だらけの初給油

本日は、ワシントンDCに立ち寄ってプチ観光をした後、ひたすら南部を目指す旅程。明日のお昼までには彼女の姉夫婦の住むアトランタに着いておきたいので、今夜中に1マイルでも近づいておこうという作戦だ。

ときどき現れる料金所で小銭を払いながら、高速道路をひた走る。いつしか雨も止み、ようやく落ち着きを取り戻す。

緊張していたせいだろう、車のトリップメーターをリセットするのを忘れていた。20マイルほど走ったところで、ゼロに戻す。改めて旅の仕切り直しだ!

ガソリンはほとんど減っていないが、この先何度となく行うであろう「英語による給油」という不安材料を早めに払拭しておくべく、サービスエリアに立ち寄ってみる。

うわさに聞いていた通り、日本のクレジットカードが給油機で認識されない。しょうがないので店内のレジへ。

レジに並びつつ、給油時の英会話をアタマの中で反復。おばちゃん店員に「I would like to fill it up on pump 3」と告げる。我ながら完璧ではないか。

ところが、おばちゃんは「How much? How much?」と譲らない。そもそもどのぐらいで満タンになるかすらわからない・・・。

仕方がないので「20ドル!」と言って支払いを済ませて車へ。ガソリンを入れようとすると、油種は3種類。違いがわからないので、真ん中のグレードを選ぶ。この選択は旅の終わりまで続けた。

初めての給油。要領は日本のセルフスタンドと同じ。あっという間に満タンになったのだが、給油機の表示では5ドル分しか入っていない。

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勇ましく「20ドル、プリーズ!」と言って出てきたのに、15ドルもお釣りをもらいに行くとは・・・恥ずかしい思いをしつつも、再び店内のレジへ。

「Change, please」と照れながらレシートを渡すと、何事もなかったかのような顔で15ドルのお釣りをもらった。とりあえず初給油は成功? 売店プレッツェルを買い、ドライブを続行する。

 

 

ワシントンDC

快調にドライブを続け、フィラデルフィアボルチモアを経て4時間弱でDCに到着。映画「フォレスト・ガンプ」にも登場した「リンカーン記念堂」に行こうとナビをセットしておいたはずが、着いたのはこぎれいな家が立ち並ぶ住宅街の小さな公園。

「うーむ、何かがおかしい」と考えてみるが、どう見ても政府機関が集中するアメリカ首都の中心部とは思えない。

理由は、ナビをセットしたときに目的地が「リンカーン公園」になっていたからだった。恐らく、リンカーン公園を訪れる日本人は年に数人もいないだろう。

気を取り直して、数マイル先のリンカーン記念堂へ向けて車を再び走らせ、ようやくDC中心部へ。

困ったことに駐車場がなかなか見つからない。連邦議事堂の路肩に「2hours」という標識を見つけ、「たぶん日本の路上パーキングと同じ使い方でしょ」と勝手な解釈をして1時間分2ドルを払って駐車した。

NYは酷寒だったが、DCは半袖でも平気。のんびり歩いてリンカーン像ともご対面。遠くにホワイトハウスを眺め、ソフトクリームを食べて車へと戻る。車はレッカーされずに無事に我々を待っていてくれた。

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運転交代

DCのダウンタウンでパンやコーヒーを買って少しうろつき、ドライブ再開。彼女に運転を交代する。

緊張の顔つきでハンドルを握る彼女。さっきの私もこうだったんだろうなと思うと感慨深い。しばらく練習のために街なかを走ってから、高速に合流した。

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時刻はすでに15時すぎ。

宿泊地に想定していたノースカロライナ州シャーロットまでは400マイル(=約640キロ)もある。初日から深夜ドライブが避けられない状況になってきた。

ひたすら急ぐことにするが、「先に夜ごはんを買っておいた方がいい」と、途中でヘンダーソンという小さな街で高速を下り、ショッピングモールへ。

アメリカのモールはとにかくデカい。だけど、食材を売るスーパーはなく、トイレに行って飲み物を買っただけで終了。

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だんだんと日暮れも迫る。宿もまだ決まっておらず、心細さが募る。

シャーロットまで行くのはやっぱり無理と判断し、手前のグリーンズボロという小さな街で宿を探すことに決定。車中でネット検索し、今宵の宿を予約する。

 

 

決死の夜間ドライブ

ナビによる予定到着時刻は22時過ぎ。真っ暗な片側一車線の山道、いつしか小雨も降り始める。対向車のライトも眩しく、ハードなドライブが続く。

ここに来て時差ボケのためか、眠気が一気に襲ってくる。ガムをかみ、大声で歌いながら何とか自分を鼓舞する。

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助手席で眠っていた彼女も異常事態に目を覚まし、私のテンションに驚いている様子。それでも何とか宿に到着。すでに時刻は23時。

 

慣れない土地での夜間走行、さらに遅い時間に宿に着くことは何かと心配も多い。それでもフロントの女性が笑顔で対応してくれ、気持ちも少しやわらぐ。

この日の宿は「Quality Inn」、初のモーテル泊。部屋では旅日記をつけたり、写真を整理したりしていたが、猛烈な眠気。気がつけば2人とも眠りに落ちてしまっていた。

(なお)

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この日の走行距離=570マイル

総走行距離=570マイル

 

 

★私から一言★

ワシントン記念塔をのぞむリンカーン・メモリアルの広場は、「フォレスト・ガンプ」でフォレストが幼馴染のジェニーと再会する場所。2人が池で抱き合う名シーンを思い出していると、観光客らしきアメリカ人が「フォ~レェ~スト!」と叫んでいた。みんな考えることは同じだね。

 

時差ボケは2日目がキツイ。夜のドライブ途中で寄ったショッピングモールは、実は私があまりの眠気に「もうこれは一回停まらないとやばい!」と思わず降りたEXITの近くにあったもの。その後、運転を変わった彼も、「あーーーーー!」と叫びながらハンドルを握っていたし・・・いや、ほんと、夜間運転は少なめにした方がいいですよ。

(のん)

 

DAY3に続く。

DAY3 南部でのんびりと - アメリカ横断2人旅

 

DAY1 アメリカ上陸!NYは寒かった

 

旅立ちの朝

4月3日、6時起床。小雨。

前夜は夜が更けるまで荷物のパッキングに追われて寝不足。でも、緊張と興奮のためかあまり眠気を感じない。

地下鉄で東京駅まで出てから、バスで成田空港へ。

搭乗するのはニューヨーク行きのANA便。せっかくの新婚旅行、「思い出にビジネスクラス!」と奮発したいところだが当然エコノミー。

しかし、いいことはあるものだ。空港カウンターでプレミアムエコノミーに空席があると知らされグレードアップ! この幸先のよさ、いい旅になる予感。

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TAKE OFF

定刻を少し遅れて12時に離陸。

機内サービスが始まり、まずはスパークリングワインで乾杯。アメリカ横断のためにつくった「旅のしおり」に2人で目を通す。これから待ち受ける旅先での体験を想像するだけでワクワクしてくる。

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飛行時間は12時間45分。飛行機は私のふるさと北海道をかすめ、サハリン、カムチャッカ半島北極海を経てNYをめざす(眼下に広がる流氷の海!)。

到着後は半日だけNY観光をして、翌朝からのドライブに備える予定。なので、機内ではぐっすり寝ておきたいところだが、なかなか眠れない。

消灯後もジンやウイスキーを飲みながら、機内オーディオで浜田省吾特集を聞く。うーん、アメリカ旅行直前に聴く浜省は胸に響く。彼女は映画を立て続けに見ている様子。

眠りに落ちては目覚めを繰り返しているうちに、どんどんと東海岸に近づく。窓からはNYの沿岸も見えて来た。

「ついに来た!」という感動と、ESTAやVISAをめぐり「無事に入国できるのか?」という不安と。こちらの心を見透かしたかのように、強風で機体も激しく揺れる。

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入国審査

緊張しながらジョン・F・ケネディ空港のイミグレーションに向かう。入国拒否なんて事態はまさか起こらないだろうと自分を励ましつつ、イラン入国の過去をどこまで突っ込まれるのか、考えれば考えるほど心配は尽きない。

そこに、強風の影響で飛行機からの荷下ろし作業が中断とのアナウンス。入国審査への列がまったく動かなくなってしまう・・・。

1時間待っても進む様子はなし。うーん、大使館といいJFK空港といい、アメリカはやっぱり手ごわい。

ようやく列が流れはじめ、アタマの中で何度も入国審査のシミュレーションを繰り返す。ESTAが認証されている彼女とは別に審査を受けるのかと思っていたら、先に行った彼女が窓口から手招き。「2人で一緒に来い」とのことらしい。

審査官は見た感じなかなかのナイスガイ。だが、まだ油断はできない。

 

「観光?滞在日数は」と聴かれ、素直に答える彼女。予想通り、あっさりパス。

いよいよこの瞬間がやってきた。ドキドキしつつもパスポートを手渡す私。ところが、審査官はあんなに苦労して取得した観光ビザを無視。

仕事のため昔に取った別のビザを確認して、スタンプを押して終了。あんなに心配していたのは何だったのか・・・正直拍子抜け。

でも、無事アメリカに入国でき、2人で抱き合って喜ぶ!

 

 

NEW YORK, NEW YORK

遅れていた荷物も無事にピックアップ。ターミナルの外に出るとNYは真冬の寒さ。気温4度。

強風のせいか、凍えるほど寒い。横断の旅に備え、Tシャツやらビーチサンダルやらを持ってきたというのに・・・。

スマホで車を予約できるアプリ「UBER」で車を呼び、マンハッタンへ向かう。大きなシボレーに揺られ、高速道路を飛ばす。

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街並みを眺めつつも、明日からのドライブに備えて高速道路の走り方などに目をこらす。遠くにマンハッタンのビル群が見えるが、睡魔が襲ってくる。

タクシーはイーストリバーをくぐり中心部へ。さらにハドソンリバーまで向かい、フェリー乗り場で下ろしてもらう。2人で35ドル。

今宵の宿はマンハッタンではなく、ハドソン川の対岸のニュージャージーなのだ。理由は二つ。

 

  1. マンハッタンはホテルの値段が高い。川を渡るだけで、ぐっとお安くなる。
  2. 対岸のホテルは、マンハッタンの夜景を眺める最高のロケーション!

 

加えて、翌日からのアメリカ横断をNJからスタートすることで、マンハッタンの渋滞を避ける狙いもあった。いきなりゴミゴミした街なかを走るのも不安なので。

さらに加えれば、彼女にとって初のNY。

味気なく地下鉄でホテルに着くよりは、フェリーのデッキからマンハッタンの風景に酔いしれてもらいたいという願いがあったのだ。

何事も初めての印象が、その後の印象を決めるというではないか。ちなみに、NJはフランク・シナトラの出生地でもある。

だが、この日のNYの寒さはあまりにも過酷だった。寒さに耐えてフェリーを待ち、寒さに震えて船内に入る。とてもデッキに出るほどの余裕はなし。

当初のもくろみが大きく外れる5分の船旅となった。それでも、対岸から眺めるマンハッタンの景色は爽快だ。

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まずは自由の女神

フェリー乗り場近くにあるホテルへチェックイン。

の初日なので、この日のホテルは奮発し、「Hyatt Regency Jersey City on the Hudson」に宿泊することに。夜景の見えるホテルを選び、景色が最高な部屋になるように事前にメールでリクエストしておいた。

フロントの女性も「新婚旅行おめでとう。Amazingな部屋を用意しておきました」とスマイル。こういうときのアメリカ人の笑顔はいいなぁ。

部屋のドアを開ける彼女を見ながら、こちらもワクワク。想像していた通り、一面の窓の正面に、摩天楼が広がる。これはまさにアメージング!

部屋にオーディオがあったので、持参したiPodで大好きなビリー・ジョエルをかける。NYに来たことを改めて実感する。

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空港で2時間ほど待たされたせいもあり、すでに14時過ぎ。マンハッタン南部から出る自由の女神行きフェリーの最終便は15時半。これは急がねば間に合わない。

ここで一つの作戦を思いつく。

自由の女神に行く場合、マンハッタンからフェリーに乗るのが一般的。だが、ここは対岸のNJ。実はNJからも女神様が立つリバティー島に船で渡れるのだ。

そもそもリバティー島があるのはNJだから断然近い。よし、早速行動開始だ!

 

 

女神様のセクシーなお尻

フェリー乗り場までタクシーで行こうとしたが、「せっかくだから路面電車で行こうよ」と彼女。

「時間がないしタクシーの方が・・・」と言いかけたが、それも面白いかなと考え直し、近くの停留所から路面電車で数駅ほど揺られる。

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ところが! 降車場所からフェリー乗り場までは相当な距離があることが判明。近くの博物館の受付で道順を聞くと、「えー、歩いて行くのかい!!」と驚きの様子。

NJからのフェリー最終便も15時半。もう時間がない。とにかく海が見える方へ急ぐが、どこが乗り場なのかさえわからない。道を聞こうにも、歩いているのは私たちだけ。心細くもなる。

出港まであと5分!

海までダッシュしたものの、最後まで乗り場がわからず。ようやく沿岸にたどり着いたときには、フェリーの姿はどこにも見えない・・・。

どうやら乗り場を見失っていたようで、ここでタイムアップ。

NYから始まる大陸横断のシンボルとして、旅の安全を自由の女神に祈願しようと思っていだけにがっかり。野良猫にちょっかいを出しつつ2人でトボトボ歩く。

 

公園の広い芝生の向こう、はるか遠くに自由の女神が見える。顔は見えないが、セクシーなお尻をこちらに見せて悠然と立っている。

これからの道中、いろんなハプニングがあるんだろうな。「こういうことの方が後々思い出になるよ」との彼女の言葉に気を取り直し、小さな小さな女神様を見つめながら記念撮影。

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マンハッタン探索

気力を振りしぼって停留所まで戻る。ハドソン川を渡る地下鉄で乗り換え切符の買い方がわからず焦ったが、なんとかマンハッタンに到着。

すでに16時半。タイムズ・スクエアをぶらぶらし、近くのカフェでカプチーノとケーキを注文。店員が「可愛い彼女だな、おい!」とウィンク。やっぱりこういうときのアメリカ人はいいなぁ。

ブロードウェイ、マディソン・スクエア・ガーデンと散策し、ベタだけれどエンパイアステートビルに登る。

トップの102階まで1人52ドル。うーん、高いなぁ・・・とは思いつつ、一生の思い出だからとチケットを購入。エレベーターで一気に昇る。

 

夕暮れの空とビル群の明かり。やがて日が沈み、360度に広がる圧巻の夜景。

やっぱりNYはすごい。

冷たい風に吹かれながら、しばし見とれる。

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再び地上へ。

彼女はすっかり眠そうだが、せっかくの新婚旅行第1日目。気合を入れて外で乾杯でもしようとレストランに入る。地ビールと濃い味付けのステーキで祝杯。

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急いで地下鉄に乗り、ホテルに着いたのが23時半。

思えば長い一日だった。自宅を出てから、かれこれ30時間ほど経過。

「明日は寝坊できない!」と寝る準備を急ぐものの、旅のゴール、LAでのバスケ観戦のため日本から持ってきたレイカーズのユニフォームにもNYの夜景を見せてあげようと(?)、彼女はなぜかお着替えタイム。

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そうこうしている間に日付も変わる。深い眠りに落ちる2人だった。

(なお)

  

 

★私から一言★

成田空港で「世界のお天気」を見ると、NYの気温は3℃だった。「え、そんな低いの・・・?」と思いつつ、「いやいや、そうは言っても4月だもん」と思いたかったが、機内放送は晴れやかな声で「NYの雪 “は” やみました」と告げた。

NYに着いた早々、グランド・キャニオン用に持ってきた厚手の上着を引っ張り出し(悩んだけど持ってきた良かった・・・)、羽織れるものを羽織れるだけ何重にも羽織り、着ぶくれの変な恰好でNYを散策する羽目に。

ニューヨーカーも驚く異例の寒波だったようだけど、初日がこの旅でいちばん寒かった。

 

ちなみに、さらりと書いた「旅のしおり」は彼のお手製。

旅程やら各地の見どころやら、この先立ち寄るモニュメント・バレーで撮影された「フォレスト・ガンプ」のシーン画像まで貼り付けて、A4で計7枚! 一体いつの間につくったのか・・・。

 

そんな彼にも寒さとお尻だけの女神様は計算外だっただろうけど、自由の女神は次の機会に取っておこう。時間がなくて見れなかったブロードウェイやMoMAニューヨーク近代美術館)も。「また来たい!」って思うぐらい、旅はきっと腹八分目がよいのです。

(のん)

 

DAY2に続く。

DAY2 大陸横断開始。NJ→DCへ - アメリカ横断2人旅

 

準備編③ ESTAが取れない!?

 

ESTAとは

アジアやヨーロッパなど多くの国に行くのと同じように、アメリカへの観光旅行もビザは不要。けれど、航空券とパスポートだけでアメリカに入国することはできない。

必要なのがESTAだ。

原則、渡航の72時間前までに個人情報をアメリカの国土安全保障省のWebサイトからネット申請しなければならない。「明日の休みからハワイにでも行こうかな」と急な思いつきで行くことができないのがアメリカ様なのだ。

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とはいえ、ESTAの申請は簡単。入力項目が多くて少々面倒くさいが、フォームに次々に記入していき、最後にカードで14ドル払えばおしまい。

実際、彼女の分は申請して3秒ぐらいで「認証されました」とのメッセージが。これで一安心・・・のはずが、アメリカはそう簡単に私たちを入国させてくれなかった。

4月3日の出国にあわせ、3月に入るとすぐESTAを申請したのに、私の分だけ認証されなかったのだ。

 

 

ESTAが拒否される?

原因は1月にアメリカの法律が改正されたせいだった。テロ対策強化のため、中東などに渡航歴のある人はこれまでもESTAが認められない場合があったのだが、その渡航リストに新たにイランが加わった。

数年前、イランに出張したことのある私は、どうやらこれに引っかかったらしい。でも、ESTAのページをよく読むと、「渡航目的によっては認証される場合もある」と書いてある。

なので、ESTA申請は保留されたままだったが、「72時間以内に結果を知らせる」というメッセージが出たため、それを信じて結果を待つことにした。

 

 

音沙汰なし

ところが72時間経っても、ESTAが認証されない。拒否されたという結果が出るわけでもなく、保留されたままなのだ。

1週間ほど待ったが、状況は変わらず。アメリカ大使館に電話してみるが、「管轄は国土安全保障省の税関国境取締局(CBP)なので、こちらでは分かりかねる」と言われる始末。

CBPの電話番号を教えてもらったので、勇気を出してアメリカに国際電話をかけたが、私の英語力では複雑に入り組んだこの状況を説明できない。

メールで問い合わせたところ、「とりあえず、ビザを取ることをおすすめする」との素っ気ない回答が。

ここに至り、どうやら深刻な事態に陥っていることにようやく気づいた。

慌ててアメリカ大使館にビザ取得のための面接予約をするが、4月からの転勤シーズンと重なっているせいか、面接日の空きがほとんどない。

空いている中で最速の3月23日を予約したが、ビザ発給には1~2週間かかるとのこと。4月3日の出発までに間に合うのか・・・ホテルもレンタカーも航空券もすべて用意したのに、肝心のESTAどころかビザまで取得できない!

アメリカ横断の旅に黄色信号がともり始めた。

 

 

米当局に必死さを伝える

面接を待ちつつも、焦りだけが募る毎日。仕事も手につかない。

保留されたままのESTAが一発逆転で認証されるよう、CBPに「怪しいモノではない。テロとは無関係な善良な日本人です」などなどのメールを送り続ける。

しかし、CBPからは「あなたはビザを取得した方がよいかもしれない」とのお決まりの回答が送られてくるだけ。

ダメ元でアメリカ大使館に電話し、窮状を訴えるメールも送ってみたところ、「事情はよくわかった。エマージェンシーの面接をしてもよい」なる知らせが!

現代の杉原千畝か、ビザ発給に光が見え始めた。

メールの翌々日、3月15日に緊急面接が確定。まずは一つ難関を乗り越えた。

 

 

いざ、アメリカ大使館へ

東京・赤坂のアメリカ大使館での面接時間は午前8時半。周辺の迷惑になるため、「大使館前に並ぶのは面接時間の15分前から」という注意書きもあったが、万全を期して8時ごろ到着した。

ところが、すでに長蛇の列。1時間も並んだのに列は半分も進まない。2時間以上待って、ようやく大使館入り口にたどり着く。

しかし、さすがアメリカだ。手荷物検査が異常なほど厳しい。プライベート用と仕事用の携帯電話を2台持っていただけで入館できず。

「いますぐどちらか1台を最寄り駅のコインロッカーにでも預けて来てくれ」と係員は血も涙もない対応。

「こんなに並んだのに、また並び直すのか・・・」と気落ちしていると、「預け終わったら列に並ばず、直接ここに来てもよい」との血も涙もある対応。

係員に後光が差しているように見えた。

というわけで、なんとか面接に挑む。

面接ブースは5カ所ほど。優しそうで少しでも話のわかる係員のブースに呼ばれないかと期待しながら並んでいたが、呼ばれたのは20代後半とおぼしき気むずかしい顔をした白人青年。

友好的な雰囲気を出すべく、渡航目的を「旅行でNYへ」ではなく「新婚旅行でNYへ」と告げたにもかかわらず、「新婚旅行なのに、なぜESTAを取らないのだ!」と相変わらず難しい顔つき。

ESTAが保留されている状況を説明するも、「なぜイランに行ったのだ!」「イランで誰に会ったのだ!」などなど、英語を浴びせられる。

 

それでもこちらの思いが通じたのか、「1週間ほどでビザを郵送します」とのありがたい言葉。

ほっと胸をなでおろしたのもつかの間、「ビザは発給するが入国を保障したわけではない。最終決定はNYの審査官だ」との不吉な一言も。

何はともあれ、面接は無事に終了。ESTAなら14ドルのところ、ビザ代は160ドルなり・・・。

それでも3月下旬、自宅の郵便受けに大使館からの手紙が届き、中をのぞくと私のパスポートと観光ビザ。彼女と2人、抱き合って喜んだのでした。

 

すべての準備は完了。さぁ、いよいよアメリカに出発だ!

(なお)

 

準備編はこれでおしまい。

ドライブ編、DAY1 アメリカ上陸!NYは寒かった - アメリカ横断2人旅に続く。

 

準備編② レンタカーと免許証

 

レンタカーを借りる

さて、ルートを決めつつもレンタカーの準備へ。

車社会のアメリカなのでレンタカー会社も多い。どこがいいのか悩んだら、まずはおおまかな予算を知るところから始めよう。

 

使ってみた料金比較サイト

https://www.rentalcars.com/ja/

 

初めてアメリカで車を運転するビギナーな私たち。安心を買う意味でも大手のレンタカー会社に決定。

あとはスタート、ゴール地点に近い営業所に絞っていけばいい。我々はHertzさんにした。

 

 

車種は?

長距離ドライブで気になるのは快適さと燃費。ネット情報やガイドブックなどを見ても、おすすめ車種はフルサイズ以上とある。

このクラス以上の車種を選んでおけば間違いなし。私たちも出発の1カ月ほど前にフルサイズの車を予約。ところが・・・。

 

 

事件発生!

実際にレンタカー店に車を受け取りに行ったところ、「フルサイズはないので一つ下のクラスにした」と店員がまさかの一言。当日予約したのなら仕方がないが、いまになってなぜ?

「ヘイ、こっちは1カ月も前に予約してるんだ。ふざけるな!ドン!!」とカウンターを叩いて抗議しようかと思ったけれど、英語でそんな文句も出ず。

車種変更による料金など、早口の説明を聞きとるのに精いっぱい。

結局、フルサイズの一つ下のインターメディエートクラスになり、トヨタカローラを借りる。

結果から言えば、オートクルーズ機能もあり、燃費もよく、快適なドライブだった。2人でアメリカ横断するなら特に支障はなかった。

下は私たちの愛車。

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それでも車種にこだわる人は

「どうしてもアメ車に乗りたい!」などこだわりがある人は予約後、直接レンタカー店に電話やメールで車種を確認をした方がよいかもしれない。

どこで借り出すのかも重要だと感じた。私たちはニュージャージーの中心部にあるレンタカー店で借り、ロサンゼルス空港で返却。

当たり前のことだが、街なかのレンタカー店と主要空港のレンタカー店とでは規模が全然違う。LAの空港には数え切れないぐらいの車が並んでいた。なので、車を借り出すときは、空港にあるレンタカー店で借りれば車種も豊富なのかもしれない。(ただし、料金に空港税などが加算される可能性もあり)

 

 

保険やオプション

レンタカーを借りるときの保険。異国の地での運転なので、なるべく心配は減らしておきたい。私たちは迷わずフルパッケージの保険を選んだ。

ちょっとした事故で楽しい旅行が台無しになるのも嫌なので。

さらに、Hertzの場合は、「NEVERLOST」なるカーナビもオプションで付けられる。料金は1日ごとの課金なので、2週間近くの旅になるとそこそこ高くなるのが難点。

最近では、スマホをナビ代わりにも使えるので、「わざわざ高いお金を払ってナビを付けなくても」という考え方もある。実際、レンタカーを借りる前にネットを調べていると、「NEVERLOSTは使いにくい」などの指摘もあった。

ただ、私たちは迷った末に借りることにした。

結論は正解だった。都市部は確かにスマホがナビ代わりにもなったが、中西部などの大平原では圏外でスマホが使えず。それでもナビは、けなげに仕事を続けてくれた。

LAなど複雑に入り組む高速道路でも的確にインターチェンジの乗り降りを指示してくれた(何回か間違えてしまったけれど・・・)。

不安な方はナビを付けることをおすすめします。

 

 

国際免許証

何はともあれ、免許証がないと運転できないし、車も借りられない。

住んでいる地域によって取得場所はさまざまだが、運転免許センターなどで即日発行。30分もかからなかった。ただ、簡単に取得できると思っていると、ついつい後回しになりがち。出発直前になってから焦らないためにも、余裕を持って入手したい。

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ちなみに携帯電話も

アメリカでの携帯電話をどうするか。携帯をレンタルしたり、または携帯は持たずにwifiをレンタルしてネットだけ使うなど、いろんな方法がありそう。

でも、事故や故障でレンタカー会社や警察に緊急連絡する事態が発生したとき、LINEなどのアプリだと通話はできない(どっちみち圏外だと携帯も使えないのだけれど・・・)。

なので、私たちは携帯通話も確保しつつ、ネットも使えるようにプリペイド式のsimカードを事前購入した。

テザリングをすれば、車内でPCやiPadなんかも使えるので便利。ただし、simフリーの携帯でないと使えないので、携帯がsimロックされている場合は要注意です。

SIMカード・格安SIM - 通販 | Amazon.co.jp

  

 

さぁ、旅に出よう!

ここまで、ホテル予約やレンタカーなど旅の準備を記してきた。横断にかかる費用はおおよそどのぐらいか。参考までに、私たちの今回の旅の諸費用は最後の記事でまとめようと思います。

すべての準備が整ったら、あとはアメリカに旅立つだけ!

いざ行かん!!

 

と、心はすでに大陸を横断していた私たちだったが、アメリカはまたしても新たな難題をぶつけてくるのであった・・・。

(なお)

 

準備編②はおしまい。

準備編③ ESTAが取れない!? - アメリカ横断2人旅に続く。 

 

準備編① まずはルート GO WEST!

 

アメリカ横断とは

アメリカ大陸の横断、一体どのぐらいの距離なのか。

下の図のように、LAからNYまでほぼ一直線に走れば3000マイル(=約4800キロ)ほど。

日本で言えば、北海道・稚内を出発し(津軽海峡はフェリーだけど)、本州最南端の鹿児島・佐多岬に到着した後、秋田まで引き返すとちょうど3000マイルになる。

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その気になれば走れそうな気もするし、やっぱり大変そうな気も。

ましてや、海外での運転となると不安も尽きない。それでも、広々としたアメリカの荒野をドライブしている姿をイメージすれば、こんなにエキサイティングなことはない!

ということで、まずはドライブの準備から。

 

 

ルートはどうする?

一番基本かつ重要なのがルート。スタート、ゴール地点を決めないと何も始まらないし、途中でどこに寄るかでルートは全然変わってしまう。

実は私たちも結構悩んだ。休みが無限にあれば全米を回りたいが、さすがの新婚旅行でも2週間の休暇が限界(結局、11泊13日の旅に・・・)。限られた時間でいかに効率よく回れるか。

まずはスタート地点だ。

最大の目的がLAでコービーの試合を観ること。4月13日の朝にはLAにいなければならない。さて、どういう旅程を組むか。

まず、4月上旬しか仕事の休みがとれそうにないので、西海岸をゴールにすることに決定。

水曜どうでしょう」と逆のルート、ワシントンDCから出発し、サンフランシスコを目指す案も浮上。だが、DC直行便には空席がなく断念。NY行きは空席があったが、運転距離が延びることに不安もあり、スタート、ゴール地点をどこにするかで迷っていた。

その他、彼女の姉夫婦が住むアトランタに寄りたい、グランド・キャニオンに足を伸ばしたい・・・などなど考え出すと、一体どんなルートにすればいいのか。いつまでも決められずにいた。

 

 

一日でどれぐらい走れるのか?

恐らく、多くの人がこの問題で悩んでしまうのではないか。

私たちもいろいろなネット情報を参考にしたけれど、実際に走ったことがないのでどうしてもドライブのイメージがわかない。

「疲れるから一日最大400マイルまで!」という意見もあれば、「気合を入れれば800マイル以上も余裕!」との情報も。

うーん、これがすっきりしないので、なかなか旅程が立てられないのだ。

ということで、今回の私たちの経験を振り返れば、

 

「頑張る日は800マイル、普通に走る日は400マイル」

 

というのが目安だろう。車に重大なトラブルが起きたり道に迷ったりしない限り、男女カップルでも十分可能な距離だと思う、たぶん。

ちなみに今回、一日の最長ドライブは750マイルだった。給油、トイレ、食事で小休止したり、高速を下りて一般道を走ったり、気になった場所で写真を撮ったりとあれこれしてもこのぐらいは走ることができた。

もちろん、宿に着いたときはぐったりだったけれど。

21時以降の夜間ドライブはなるべく避けたが、早朝から深夜まで走れば距離はまだまだ延ばせそう。3、4人で運転を交代すればもっと行ける、はず。

 

 

ルートを決める!

ということで、ルートを決めてみる。

Googleマップを使い、まずは行ってみたいところをマークした。

せっかくのアメリカ横断、行けるかどうかは別にしてとりあえず行きたい候補地を選ぶ。

それから、各地点の距離をGoogleで計測(ルートまで表示されて便利!)する。

観光しながらドライブする一日なのか、移動に専念する一日なのか、いろんなパターンを検討していくと、何となくルートが見えてくる。

参考までに、私たちの最終的なGoogleマップはこんな感じ。

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各地点をつないでいけば、アメリカ横断をしている気分になるから不思議だ。

 

 

ここでアドバイス

というほど偉そうな話ではないけれど、私たちの経験からルート選定における重要なポイントを三つほど。

あくまで私見である。

 

 

①GO WEST!

どうせ横断なんだから「東から走ろうが、西から走ろうが距離は同じ!」と思ったあなた。その気持ちはよくわかる。

確かに距離は同じだが、アメリカは広大。その広さゆえに、日本人にはイメージしにくい国内時差があるのだ。

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上図のように、西海岸と東海岸では3時間もの時差がある。

そして、地図をよく見ればあることに気づくはず。そう、当たり前だけれど西より東の方が時間が進んでいるのだ。

どういうことか。

西から東へドライブしたとする。時刻は15時。「日没までに宿に着くぞ!」と頑張って飛ばしていたのに、時差の境目(タイムゾーン)を越えた瞬間にプラス1時間、「え、もう16時!?」という事態が発生するのである。

逆に言えば、東から西に運転すれば、タイムゾーンをまたいだ瞬間に時計の針が1時間戻る。

たかが1時間とあなどることなかれ。国立公園の入園時間、スーパーの閉店時間、睡眠時間、「あと10分早ければ・・・」という場面が多く予想される長距離ドライブでこの1時間は実に大きい。

実際、私たちも思わぬ時差のボーナスに喜んだことがしばしば。しかも、アメリカ横断では、こんなおいしいボーナスが3度もやってくるのだ!(実は3度目がやって来なかったことは後述・・・)

ぜひ、東から西をめざすドライブをお薦めします。

 

 

②宿は走りながら予約

せっかくの横断ドライブ。行く先々で思わぬ感動もある。

1時間もあれば十分と思っていた観光名所なのに、気づけば3時間も楽しんでいた。逆に、1時間で到着できる距離だったのに、思わぬ渋滞で3時間かかる・・・など、なかなか先が見通せない。

アメリカはよほどの田舎に行かない限り、主要道路沿いにはモーテルなど宿泊施設は十分。(田舎でも探せばあります)

大人気の観光地周辺やハイシーズンでなければ、その日の宿はその日に予約。疲れているときは予定より早めに宿に入ることもできるし、時間にも気分にも余裕が生まれます。

私たちも事前に予約していたホテルは3日に1回程度。「どうしてもこのホテルに泊まりたい!」というホテルがあったときは日本から予約したけれど、残りは車中でネット予約した。

アメリカのモーテルは、日本のビジネスホテルより広くて安くて快適な宿が多い。

ただし、市街地を離れると圏外の区間も続くのでネット環境には十分注意を。

 

 

③天気予報をチェック

②で柔軟な旅程を確保できても、旅を楽しむ上で大切なのがお天気。

せっかく頑張ってグランド・キャニオンまで走ったのに、曇りで夕焼けが見られない・・・という悲しい事態はできるだけ避けたい。

前の日、むしろ当日でも事前に天気予報をチェックしてからルートを決めることをお薦めします。

 

私たちが愛用していた米国の天気予報サイト。

http://www.theweathernetwork.com/weather/list/us

 

エリアや時間ごとに細かく予報が出るので、天候に気を揉んでルートを決めかねているときは重宝すること間違いなし!

といっても、自然相手なので晴れたり雨が降ったりすることもある。それがまた旅の醍醐味かもしれない。

(なお)

 

というわけで、準備編①はおしまい。

準備編② レンタカーと免許証 - アメリカ横断2人旅に続く。

 

プロローグ 「2人が旅に出た理由」

 

さて。彼と2人、アメリカ横断の旅をすることになった。

 

思えば「水曜どうでしょう」を見ながら晩酌するのが我が家の週末の定番になって、中でもお気に入りは四国遍路とアメリカ横断。

次に何が起こるのかすっかり覚えてしまうぐらい見て、そのたびに「いいねぇ、いつか一緒に行きたいねぇ」なんて言っていたけど、まさかホントに実行に移すとは思ってもみなかった。

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水曜どうでしょうDVD第15弾『アメリカ合衆国横断』 | HTBオンラインショップ

 

発端は去年の10月、「新婚旅行どこ行く?」という話から。彼も私も旅好きで、せっかく結婚記念の旅行をするのなら、ちょっと特別な旅にしたい。

最初は「イスラーム文化とキリスト教文化の融合地点へ!」と、トルコを目指していたけれど、昨今の国際情勢を鑑み、危険性アリと判断して泣く泣く断念(よしトルコだ!と決めたその日に、ロシア機が撃墜されたんです・・・)

だったらどうする? ウユニ塩湖? いや、遠すぎる。じゃ、シベリア鉄道横断とか? たぶん、途中で飽きる。ならヨーロッパ周遊? あ、またテロだ・・・。

というわけで、「もういいかァ、新婚旅行はしばらく経ってからで・・・」と半ば投げやりモードになっていたところ、ふいに思いついた。

 

今年、コービー・ブライアントが引退する。

 

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コービーは言わずと知れた、NBAロサンゼルス・レイカーズのスター選手。

実は私は中学生の頃からNBAファンで、というかコービーの大ファンで、いつか生で試合を見たいとずっとずっと思っていた。そのコービーがついに今シーズンで引退してしまうのだ。

ラストゲームは4月13日。休みは? 彼曰く、たぶん、とれる。

・・・これはアメリカに行くしかないのでは!?

どうせ行くなら、いっそ横断しちゃえばいいのでは!?

 

と、こうして最後は勢いで私たちはアメリカ横断を決めたのです。

絶対外せない条件は「4月13日  in  LA」のみ。

どういうルートで行くのか、そもそも何日かかるのか。ていうか、アメリカって左ハンドルだよね? なんてことは置き去りにして。

呑気な私は「ま、行けば何とかなるでしょ」ぐらいに思っていたのですが、彼はこの日から仕事そっちのけで旅のコーディネイトにのめり込んでいくのでした。

(のん)

 

準備編① まずはルート GO WEST! - アメリカ横断2人旅に続く。